短いお話

渡辺翔太 〇 まい様ﾘｸｴｽﾄ ページ11

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『もう！また翔太脱ぎっぱなし』


翔太｢ごめんって〜｣



床に脱ぎ散らかされた服を拾いながら文句を投げる




翔太｢Aちゃんごめんね？｣



わたしの後ろに立ち

抱きしめながら謝罪の言葉を言う彼



『こういう時だけ都合よすぎ』


抱きしめる彼の腕からするりと抜け出して

拾った衣類を脱衣所へ持っていく




翔太｢Aなんか冷たい〜｣



わたしのイライラを加速させるような言葉を

お構いなしに放つ彼はわたしの彼氏である渡辺翔太



もうすぐ付き合って2年が経とうとしている

そして1年前から同棲をしているわけだけど



一向に変わらぬ今の現状に焦りと不安

そして苛立ちが最近は絶えない




脱ぎっぱなしになっている靴下1つで

イラッとしてしまうわたしは小さいのだろうか




どこかで聞いたことがある



同棲をするとズルズルと長引いて

なかなか結婚までいかないと


そしてその先に待つのは別れが大半だということ




わたしたちもそうなってしまうのか


彼はちゃんと考えているのだろうか






翔太｢A〜お腹すいた〜｣

そう言ってクッションを抱えソファに座る彼



そんな彼を見る限り

何かを考えているなんて到底思えない





『はぁ』

ため息をひとつ落としてキッチンへと向かう



止まぬ悩みは一旦置いて

料理に取り掛かろうと冷蔵庫を開けた





『ちょっと！翔太！』


翔太｢なーにー？｣


『わたしのプリン食べたでしょ！』


翔太｢あー、食べた！｣



朝は確かにあったわたしのプリンが

今、目の前に見当たらない





翔太｢超うまかった！｣



そして悪びれる様子もなく


しまいには｢うまかった！｣と

聞いてもいない感想まで言ってのける彼




『信じらんない、楽しみにしてたのに！』


翔太｢え、ごめんごめん｣

｢今度買ってくるから｣


『いらない！翔太のバカ！』



翔太｢何もそこまで怒んなくてもいいじゃん｣

｢最近のA怒ってばっかり｣



『誰のせいよ！』



一言文句を放ったら

歯止めが効かず次から次へと文句の嵐




『だいたいわたし翔太の母親じゃないし』

『翔太のお世話係じゃない！』



これは言うまいと思っていた言葉さえも

今の私の口からはいとも簡単に出てしまう






『なんのために一緒に住んでるのか分かんない』



そう捨て台詞を吐いて


そのまま部屋を飛び出した





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