【東リベ】早く起きろよ、バーカ【真一郎】

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「イザナ………」


「こうやって面と向かって会うのは久しぶりだな。A」


「………」





色々言いたい事は山ほどある。


何バカな事しようとしてんの、あんたら兄弟でしょって。


ただの兄弟喧嘩に、他の奴ら巻き込むなとか。


こんなの、真一郎が知ったら悲しむとか。





「A、エマとタケミっち連れて離れててくれ」


「万次郎」


「二人で話がしたい」


「……分かったよ」





気づかない間に、万次郎があたしの後ろにいた。


エマも。


真一郎のお見舞いに来たんだって。


二人がここで出会うのは運命なのか、偶然、それとも必然なのか。


ねえ真一郎、あたしはどうしたらいい？


きっとあんたなら、上手いこと言って場を収める事が出来るんだろうね。





「お姉ちゃん……」


「ごめん、エマ。なんとかするって言ったのに」


「ううん。お姉ちゃんが謝る事ないって！」


「……」





はあ、と深いため息をつく。


ガキの喧嘩に大人が手を出すのは、なんて。


そんな甘っちょろい事、考えるんじゃなかった。


周り巻き込んでの兄弟喧嘩は、もうただの兄弟喧嘩じゃない。





「男の子って、なんで喧嘩ばっかりするのかな？」


「それが男ってもんなのよ。バカみたいに喧嘩して、最後にはボロボロになっても笑うの」


「東京卍會総長、無敵のマイキー。マイキーは人前で強い所しか見せない」


「そーね」


「どんな時でも弱い顔は見せないのがマイキー。でもホントのホントは、今でも使い古したタオルケット握りしめてないと寝れない、弱い男の子」





強いように見られてても、心はかなり脆い万次郎。


そんな万次郎を支えていたのが、真一郎であり、エマであり、あたしでもあった。


大半を支えていた真一郎と言う支柱を失った万次郎は、酷く脆い状態。





「どっかで張り詰めた糸が切れちゃった時、その時はウチが絶対マイキーを助けてあげるんだ！マイキーがそうしてくれたみたいにね！」


「うん。……エマなら出来るよ。きっと」


「お姉ちゃんもだからね！」


「はいはい」





喉乾いたぁー、と話すエマに、あたしは小銭が入った財布をポケットから取り出し、手渡した。


すぐ近くに自販機があったからだ。





「お姉ちゃんは？」


「あたしはいいよ。自分たちの分だけ買って来な」


「はーい。行こっ、タケミっち」


「あ、う、うん！」

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