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10月になってようやく秋らしさを感じ初めた頃。
その日あたしは休みで、朝から真一郎の病室にいた。
特に何をする訳でもなく、ただ静かな時間を過ごす。
真一郎の髪を触ったり、手を握ってみたり。
やる事が無くなったら、持って来ていた本を読み出したり。
するとしばらくして、コンコンと病室の扉がノックされた。
どうぞ、と返すと静かに病室の扉が開いた。
「圭介?珍しいね、こんな時間に来るなんて。学校は?サボり?」
「真一郎くん、Aちゃん。話がある」
「?どうしたの」
「オレ、東卍を辞める」
「はあ?」
何を突然。
空いた口が塞がらないとはまさにこの事だった。
真一郎の病室にやって来た圭介。
真剣な表情で何を言うのかと思えば。
「辞めるって……どう言う事」
「正確には東卍を抜けて、別のチームに行く」
「………」
「オレが何とかしねえと」
「?」
話はそれだけなんだ。
ごめん。
と改めて頭を下げた圭介は、病室を出て行った。
何が何だかわからなくて、ぽかんとしてたけど、真一郎に圭介の後を追えって言われてたような気がして、あたしも病室を出た。
「圭介!」
「Aちゃん」
「ちょっと付き合って」
手には愛車の鍵。
つまり走りながら話しをしようって事。
圭介を助手席に乗せて、適当に愛車を走らせる。
「何で急に東卍抜けるなんて言い出したの。他のチームに行くってのも」
「…………」
「なんか理由があるんでしょ?言ってみ」
「………」
ぽつり。
少しづつだけど圭介は口を開き、どうして東卍を抜けるなんて言い出したのか話し始めた。
「一人で背負い込みすぎ」
「Aちゃん、おれ」
「話してくれてありがとね。圭介」
「ッ」
「こちとらお前らより10年も長く生きてんの。ガキが一人で悩んで、抱え込んでるモン、代わりに背負ってやる事くらいわけないって」
圭介の頭をぽんっ、と撫でる。
走らせた愛車を停め、ふぅ…と息を吐く。
「ごめん」
「謝る必要ないよ」
「オレ……」
「あたしでも、真一郎でも、気にすんなって言う」
「っ」
「一人で背負い込みすぎんな。圭介」
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ピアノ - 完結おめでとうございます!もう、真兄推しの私にとったら泣けて最高のお話でした!これからも頑張ってください! (2021年10月10日 10時) (レス) @page49 id: 68f7274f2c (このIDを非表示/違反報告)
ルイにゃ - 完結おめでとうございます とても泣ける話でした (2021年9月29日 18時) (レス) @page49 id: c326ad8a0b (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 完結おめでとうございます!これまでに無いハッピーエンドです....真一郎くんが起きた時はもう...全私が喜びましたwこの作品に出会えて良かったです^^* (2021年9月29日 3時) (レス) @page49 id: 849fa7e773 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメと昆布って似てね? - 完結、おめでとうございます!原作が辛くて辛くて仕方なかったけど、この作品に出会えて本当よかったです!2人の結婚式とか結婚式のスピーチのお話が見たいです!できればでよろしいので書いてもらえたら嬉しいです! (2021年9月28日 22時) (レス) @page49 id: 293adefca4 (このIDを非表示/違反報告)
43(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白くて、一気に見ちゃいました!幸せそうな夢主ちゃんを見れてよかったです!! (2021年9月28日 16時) (レス) @page49 id: abf6fd2177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴんぞろ | 作成日時:2021年9月15日 0時