【東リベ】早く起きろよ、バーカ【真一郎】

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ﾊﾞﾀﾝｯ、


と愛車から降りてドアを閉める。


9月に入って夏の暑さが少し落ち着いた頃。


いつも通り真一郎に会いに行って、その帰り。


気晴らしにとあたしはそのまま愛車を走らせて、首都高へ上がっていた。





「久しぶりじゃん、Aが上がってくんの」


「よっ」


「相変わらず気持ちよく走るよねえ、Aは。音ですぐ分かったわ」


「まだそのオンボロ乗って走ってんだ？遠くから見てもすぐ分かった」


「見た目はボロだけど、中身はチョーすげーから」


「そう言うなら外観も直せよ。ツギハギはカッコ悪いぞ」


「うっせー」





立ち寄ったPAに知り合いがいて、立ち話。


真一郎の事件から一年ほど走らず、病院に通う毎日。


そんな状況を知った友人たちが誘ってくれたのがキッカケで、あたしはまた車を走らせる様になっていた。


最初は渋っていたあたしだったが、無理矢理連れ出されたのが功を奏した。


元々好きだった車を走らせる事。


真一郎の事は相当堪えていて、思っていた以上に溜め込んでいたらしい。


久々に愛車を走らせた後、あたしは随分とすっきりした顔をしていたらしい。





「にしてもいい音だなー、Aのセブン」


「ロータリーはいいよ」


「燃費は？」


「ソコは気にしちゃダメ」





走り屋は燃費とか気にしたらダメだから。


首都高は真一郎とも何度か走った。


真一郎はバイクで、あたしは車だったり。


真一郎のバイクに２ケツしたり。





「ダンナ、どーよ」


「まだ起きないね」


「植物状態ってさ、調べたけど色々大変みたいじゃん」


「まーね」


「たまには走って気晴らししなよ？」


「ウン」


「相談も乗るし」


「ありがと」





こうやってみんなに支えられて、なんとか生きてる。


たぶん一人だったら、絶望して、もしかしたら死んでたかもしれない。


けどあたしにはエマも、万次郎もいる。


真一郎の代わりに守ってあげなきゃ、見守ってあげなきゃいけないやつらがいる。


あたしがしっかりしなきゃって。





「あんた何でも一人で背負いがちだから、心配だよ」


「ははっ。心配してくれてんだ」


「たり前じゃん。ダチ心配しないやつはダチじゃねーよ」


「そっか。じゃああたし、いいダチ持ったね」

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