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episode58 ページ8

先ほどから突き刺さるように感じる田中の目線が怖い
どちらかと言えば笑っていなくても笑っていると捉えられることの多い男だ
だけど今の田中は笑顔を作っているが目が笑っていない。怖い


佐藤:田中ずっとAさんと連絡取りたがってたよなー

田中:あー…うん


事情を知らない佐藤は田中サイド、なんなら俺も田中側でユキちゃんも田中側。
佐藤からすれば全員田中側の人間だと思っているがあくまで佐藤だけ

田中からすれば初対面の俺が自分の狙っている女に話しかけているのが少なくともいいようには思わないはずだ


田中の問いに対して笑顔で答える彼女。
連絡を取る気はないと言っていたのはどうやら本当のようで、田中は彼女を心配していた


「すみません、ハイボール一つください」
『じゃあ僕も同じのください』


只、飲むペースは俺と変わらないほど速い
田中の話に相槌を打ちながらも手元からグラスを離さずに口に運ぶ

良くも悪くも彼女は分かりやすい
分かりやすく良い人を演じようとする
田中を傷つけないように優しい人を演じているんだ


…にしてもさすがに酔ってそう


テーブルに並ぶ食事には一切手を付けずにグラスを空にだけしていっている
チーク程度だった頬の赤らみが耳や手まで赤く染めていた
徐々に瞬きの回数が増えているので、酔ってそう

来た時に印象的だった彼女の赤いリップがグラスの縁に薄らとうつり、地の色に戻りつつある唇。
俯き気味になっている彼女の顔を覗き込むと気付いた彼女と視線が交わった


『顔赤いよ?』


反射的に身体を俺とは反対側に反らされ、一気に距離ができてしまった


「だ、大丈夫…」


目を大きく開くも顔が真っ赤なままの彼女は既に「酔ってます」と顔に描いているようなもので。
立つのすら危ういこの彼女を家まで見届ける役目が俺ではないことも分かっている


『じゃあこれも飲んで』


注文で届いたばかりのウイスキーのショットグラスを彼女の前に置くと、周りはおっと言わんばかりに盛り上がった
大学生ノリの延長のようで多少の嫌悪を感じたものの彼女は躊躇を見せず一気に流し込んだ

彼女の大学生活にもこのような光景があったのだと思うとその嫌悪は一層増すものだ


佐藤:吉沢〜もしかしてAちゃん気に入った??

アルコールも入りいつも以上に陽気な佐藤がちゃちゃを入れると、隣の田中は苦笑いを浮かべる
…分かりやす


ユキ:ありゃ、潰れちゃった?


ふと見ると視線の先で肩を借りて眠る彼女がいた

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設定タグ:吉沢亮 , 横浜流星 , 俳優   
作品ジャンル:恋愛
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びじんさま(プロフ) - 更新停止中( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)続きが楽しみです。。 (9月25日 12時) (レス) id: 0f5a3f80da (このIDを非表示/違反報告)
perfumer - 面白くて一気読みしてしまいました!更新頑張ってください(^^) (2021年10月7日 8時) (レス) @page7 id: c58da712a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:君との時間。 | 作成日時:2021年8月25日 14時

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