episode53 ページ3
「…すみません。どこかでお会いしましたか？」
隣で冷やかすような態度を取る彼の同期の佐藤さん。
佐藤さんや前田さんはどちらかといえば自らがモテることも、どうすれば好かれることも自覚しているような様子だが田中さんは少し違った
田中:い、いえ。駅で何度かお見かけして、会社に訪れた時に…偶然お見かけして、その素敵だなあって思いまして…
浅黒い小麦色の肌をほんのり赤らめるガタイの良い彼
Yシャツの上からでも筋肉が浮き出ているほど鍛えられたその身体とは対照的に優しい笑みだった
ゆるキャラ…みたいな人だな
学生時代に何かスポーツしてたのかな
田中:…すみません。こういう場に慣れてなくて…
「いえ。率直に言っていただけて嬉しいです。」
サラリーマンというよりは消防士とか救命救急士にいそうな…
あの人はどちらかといえば華奢で…いや、でも肩幅はしっかりしていたか
華奢だけど首は太くて色白な方だと思う
田中:よければ…食事でも…
「…ぜひ。」
フってもフラれても割と皆すぐに新しい恋が始まる
どうしても別れた直後は思い出してしまうものなのかもしれない
何をやっているんだろう、7年も。
私なんかに好意を寄せてくれている人の前で
あの人のことを思い出して比べるなんて。
いつかに真宙君が言っていた魔除けはある意味間違っていない
・
「…私、田中さんと連絡取る気無いよ」
綺麗になった彼女はどんな恋愛をしてきたのだろう
俺と別れた後にどんな男と付き合ったのだろう
もしかすれば綺麗になったのは誰かの影響なのかも
田中みたいな絵に描いたような優しく家庭的な男でも断るのだから色々な相手と恋愛をしたんだと思う
田中がフラれて内心ホッとしたが俺に勝算があるかと言われたら他の男よりも無い。
『何か嫌なことされた？』
「…違うよ」
『じゃあ何？』
だからこそ愚行だとしてもあいつの名前を使うしか彼女との接点は無い
感情を抱かない相手ならこんなまわりくどいことなどしない
彼女のことを知りたかった
あの頃に知ろうともしなかったのに、今の彼女を知りたがるなんて
「…私は、私の好きな人と付き合いたいの」
『…』
知っている
そんなこと俺が一番知っている
好きでもない相手と付き合わないのが彼女だと分かっている
彼女の好きな人だったから分かる
だからこそ今、その言葉が俺に向けられているものでないことだと分かった
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びじんさま(プロフ) - 更新停止中( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)続きが楽しみです。。 (9月25日 12時) (
レス) id: 0f5a3f80da (このIDを非表示/違反報告)
perfumer - 面白くて一気読みしてしまいました！更新頑張ってください(^^) (2021年10月7日 8時) (レス) @page7 id: c58da712a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：君との時間。
| 作成日時：2021年8月25日 14時
