モトカノ依存症【吉沢亮】 (ページ21)

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episode21 ページ21

『…会いに行った？』

彼女の言っていることを理解することは少し時間がかかった
涙を流す彼女を慰める余裕など、正直無い

東京にいることは知っていた

同じ都内にいるが探すことはできなかった
探そうとしてはどこかで避けていたんだと思う

『…何でそんなことしたの』

驚きと共に彼女がそこまでAに執着していることにどこか恐怖心を覚えた
どうしてそこまでして元カノに執着しているんだろうか
Aとは卒業式以来会っていない
一緒にいるのは昨日も今日も自分なのに
どうしてそこまで会っていない元カノに執着しているんだ

〝何でって…亮君って頭良いのに自分のことになると疎いんだね…”

バンッとアルバムを床に放り投げた
怒りに任せて投げられたアルバムは開いたまま不格好な状態で転がっている

ぐちゃぐちゃになった化粧など気にせず止むことを知らない彼女と
彼女の次の言葉を呆然と待っている俺

原因はここにいない元カノ。

〝…亮君は依存してるんだよ。付き合ってる時も、別れてからもAさんに依存してるんだよ。
だからいつまでも忘れられないんだよ…私と付き合ってからも忘れられないんだよ。”

ーーーー…

山田といい、彼女といい

どうして周りはそういう風に思えるんだろう

俺のほうから別れたいって言ったのに。
何年も会っていない、連絡先も知らない
新しい恋人もいる

普通忘れてるだろ、元カノのことなんて

“亮君のこと好きになれば好きになるほど意味わかんないぐらいおかしくなる、だって私と手繋いでもキスしてもヤッてもあの人が現れたら亮君…亮君はあの人が好きなんだから…”

“別れよう…亮君…”

今の感情を表すならどんな言葉が似合うのか

散らかった部屋に座り込み、ぼーっと言葉を探していた
泣きながら帰った彼女を引き留めることもせず
ただ欲しかった。言い訳の言葉。

結局聞けなかった。会いに行って会えたのか
会って今の俺の彼女だと言ったのだろうか

言っていた場合、彼女はどんな反応をしたんだろう

殆ど開かないSNSのアプリを起動させ、フォローしている高校時代の女子の投稿を開いた
またそこからフォロー欄を見てスクロール
瞬きするのを忘れ必死に探していた

…

『…A』

辿り着いた彼女のSNSを震える手で開いた

だがそこに俺の知る彼女はいなかった。