十二日目 ページ33
いよいよ舞踏会本番ーーといっても昨日の今日だけれど
ファーリス王子にたくさん付き合ってもらったおかげで練習は十分出来ているはずなのに、いまいちパッとしないダンスしか踊れなかった。
自分がそんなに上手く踊れるわけがないことはわかっていたけれど悲しくて、悔しくて、舞踏会に出たくなくて泣きそうになりながら眠りについたはいいものの、全く眠れなくて。
緊張のあまり朝御飯がなかなか食べられないし踏んだり蹴ったりだ。
「Aちゃん、舞踏会は夜からなんだし夕方くらいまで休んでなさい」
「あんた、すごく疲れた顔してるわよ？」
「う…でも、練習が…」
「ファーリス王子には僕から言っておくから大丈夫。お休みしなよ。」
全員がかりで説得されてしまえば勝てるわけもなく、ふらつく体をセーニャさんに支えられて部屋に戻る。しっかりと休んでくださいね、とラリホーをかけようとするセーニャさんを必死に宥めて部屋のドアを閉めてふぅっと息を吐き出す。
「とはいっても、眠れそうにないんだよねぇ…」
ラリホーお願いすればよかったかな…なんて少し笑いながらもとりあえず横になって目を閉じてみる。目を閉じると失敗する風景ばかり見えてどうにも落ち着かない。
寝返りを打っては目を閉じ、開けては寝返りを打ちを繰り返しているとがちゃりとドアが開いた。
「やっぱりまだ起きてたか」
呆れ半分、怒り半分の顔をしたカミュさんの手元にはマグカップがあってそれをそっと差し出された。
「やっぱり暑い国なだけあってなかなかないもんだな」
「……ホットミルク？」
「ガキの頃、具合が悪くなったら飲んでたんだ。あの頃は牛乳だってすげえ貴重だったけどな。」
寝起きの私を見た瞬間から具合が悪いのを見抜いて、朝御飯の時にいなかったのは牛乳探しの旅に出ていたみたいでそこまでしてくれるカミュさんに涙が出そうになるのを誤魔化すように蜂蜜入りの甘いホットミルクを飲んでほっと息をつく。
「失敗したっていい。Aの精一杯はみんな分かってるんだぜ。あ、失敗しろって意味じゃねぇからな？」
「ふふ…大丈夫です。ありがとうございますカミュさん。」
「ん…ほら、飲んだら寝ろ」
「子守唄ください」
「…拒否する」
横になるとホットミルクの効果か、カミュさんのお陰か、急に眠くなってきた
「カミュさん、どうしてこんなに良くしてくれるんですか」
寝ぼけ眼につい思ってたことを口にしていたことには気づかない私だった
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リィリ - 妄想が爆発しちゃいます。とても、面白いです！ (2019年1月11日 22時) (
レス) id: 401a5e74b1 (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - わー！懐かしー！今はもう断捨離したつもりだったけど、あー！今なら良さがよくわかる！ (2018年12月30日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
深 - カミュに愛されるヒロインちゃん。愛おしいです。更新首を長くして待っています。 (2018年3月14日 1時) (レス) id: f04a5e4031 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち - 凄く面白いです！更新楽しみに待ってますね♪ゆっくりで大丈夫です！ (2018年1月22日 20時) (レス) id: b715a17a6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴぬこ(プロフ) - クルルさん» コメントが通知来ておらず返信遅くなってしまってすみません…初めましてこんばんは、コメントありがとうございました。亀更新ですが頑張ります…！ (2017年12月25日 22時) (レス) id: cd5f3e3a51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわ | 作成日時：2017年8月18日 7時
