秘密の同居生活《青》

ep10 ページ10

休憩時間に入り、渡辺くんが女子の大群の中から誰か探してる様子だった





すると私のところで目線が止まり、ふっと笑ったような気がした





近くにいた女の子が
「え！うそ！翔太くん今こっち見て笑ったよね！？」
「笑った顔やばい！カッコ良すぎる！」



なんてさらに騒いでる





渡辺くんの隣にいた深澤くんはこっちに向かって手を振っていた





振り返そうか迷ったけど、もしかしたら私じゃないかもしれないし



この女子の大群に見られたら後で何されるか分からないからやめておいた






『ちょっとジュース買ってくるね』



そうみきに伝えて体育館を出た



自販機でジュースを選んでいると






深「Aちゃん！なんでさっき手振りかえしてくれなかったのー」


と深澤くんが拗ねた顔でこっちに近づいてくる




『いや、だってあの女子達敵に回したら怖そうだし』




深「その時は俺が守ってあげるから！」

なんてチャラい言葉をサラッと言える深澤くんはすごすぎる




『それはどうもありがとう。笑』




なんて笑って返すと、渡辺くんもやってきた





渡「何飲むの？」





え？誰に聞いてる？私？深澤くん？

分からずキョロキョロしていると





渡「Aさん。何がいいの？」




あ、私か。え？奢ってくれるの？あの塩男が？




『え…っと、ココアで…』



とりあえず咄嗟に答えると



渡「はい。」



買ったココアを渡してくれた




深「え！待って！なに、どうした！？なべが女の子にジュース奢るとかどうゆうこと！？明日は雪か！？」




渡「うるせぇ。行くぞふっか」




渡辺くんはもう体育館の方に向かって歩き始めている




深「あ！なべ待って」
　「Aちゃん今日はありがとう！またいつでも見に来てね！」




と言ってふたりとも行ってしまった





手に持ったココアを見つめる…




なんで渡辺くんジュース買ってくれたんだろう


そういえば自分は何も買ってなかったよね？



案外優しいところあるじゃん

なんて考えながら飲んだココアはいつもよりちょっとだけ甘い気がした

ep11→←ep9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す