秘密の同居生活《青》

ep39 ページ39

県大会当日の朝

みきと待ち合わせして会場に向かう

みき「渡辺も負けてないねぇ。やっと動き出したか。笑」


『え？何の話？』


みき「いや、こっちの話。笑」

会場に着くと翔太たちはウォーミングアップの最中だった


すでに客席には沢山の女子たちと
“翔太くん”と書かれたうちわまで持っている子もいる


やっぱりすごい人気だな…
この中に翔太の好きな子もいるのかな
急に不安になってくる


みき「A顔暗くなってるよ！今日は精一杯応援するんでしょ！」


そう言って背中を叩かれる

ウォーミングアップの終わった翔太たちが
こっちに向かって歩いてくる

深「Aちゃんみきちゃん！来てくれてありがとう！」


みき「別にふっかのためじゃないけどね。笑」


深「相変わらずみきちゃん冷たいなぁ！」


渡「Aたちどの辺で見るの？」


『うーん、あの辺空いてるからあそこに座ろうかな』

2階の席を指差す


渡「そっか。…Aちょっといい？」


手を掴まれて会場の外に出る


『翔太どうしたの？もう始まるんじゃない？』


渡「うん。だからその前に…」


翔太にぎゅっと抱きしめられる


『え！？なに！？』


渡「声でかいし。…充電させて。」


しばらくそのまま抱きしめられる

私も腕回した方がいいのかな？
よく分からないけど、そっと翔太の背中に両手を回す


渡「まじで今日頑張れるわ。」


『頑張ってね』


渡「俺だけ見ててよ。…行ってくる。」

そう言って翔太は戻って行った




私も戻ろうと歩き始めると
女の子たちに呼び止められる

《あんたなに？翔太くんのなんなの？》
《翔太くんはみんなのものなんだからね、独り占めしないでくれる？》
《あんたも所詮遊び相手の1人にすぎないよ》
《翔太くん色んな女の子と遊んでるから》


聞きたくない言葉を次々言われる
遊び相手？色んな女の子と遊んでる？
胸が苦しくなる…私翔太のこと何も知らなかったんだな


気づけばもう試合は始まっていた
少し遅れて席に着くと


みき「Aどこ行ってたの！？もう始まってるよ！」


『…ごめん。トイレ行ってた。』


今日は笑顔で応援したかったのに…
翔太のこと見てたら涙が出てきそう


試合中もゴールを決めたらこっちを見てくれるのに
全然笑顔で返せない

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