ー ページ8
’
中間さんが用意してくれていたのは簡単なコース料理で、仕事着のまま来てしまったのが勿体無いくらい贅沢な空間だった。
運ばれてくる料理も、お酒も、全部美味しい。
今度友達も連れて来よう。
メインの料理を食べ終わり、コースも終盤。
残すはデザートのみ。
ここのスイーツはもう経験済み、美味しいのは間違いない。
今日は何が出てくるんだろう、ケーキ？タルト？いや、中間さんが考えるならショコラとかかな。
「デザート、そんなに楽しみですか？」
『あ、また顔に出てます？』
「それはもう、存分に。笑」
中間さんは私の表情の変化を見てよく笑う。
そんなにコロコロ変わってるつもりは無かったけど、ここまで言われるということは相当顔に出やすいタチなんだろう。
「Aさんお待ちかねのデザートなんですけど、コースとは別で、実は見せたいものがあるんです。」
『え、？』
中間さんがそう言うと、私の背後から店員さんが出てきて、小さな箱のようなものを目の前に置いて行った。
リボンやお店に合わせた植物で飾られた、宝箱みたいな綺麗な箱。
これが、見せたかったもの？
「開けてみてください。」
『…うわあ、綺麗！』
中間さんに言われた通り、箱を開けてみると、中には小さくカットされた様々な種類のケーキが宝石のように並べられていた。
キラキラしていて、それは正しく宝石箱。
今すぐにでも持って帰りたい。
『どうしたんですか、これ。』
「この前Aさんからお店について感想を貰った時に、スイーツが宝石箱みたいで持って帰りたいって言うてくれたから、それを形にしてみました。」
『あ、じゃあ、あの時のメモって。』
私の感想を聞きながら書いていたメモは、それを店員さんに指示するためだったんだ。
仕事が早すぎる、凄い。
「これをこのお店のテイクアウトメニューに加えようと思ってて、まずはAさんに見てもらいたかったんです。」
お店の試作品とは言えど、態々そのためにご飯に誘ってもらうなんて経験が初めてで、やっぱり中間さんといると驚くことが多い。
でも、自分の意見が形になったと思うと嬉しい。
この感覚を中間さんはいつも味わってるのかな。
ていうか、サラッとこんなサプライズ用意してくれてるなんて、中間さんはモテるんだろうなあ。
って、何考えてるんだ、私。
’
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キオ | 作成日時：2022年8月24日 6時
