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中間さんをじっと見つめ続けること30秒。
全くわからない。けど違和感は感じる。
スーツは前と同じような雰囲気だし、髪型も…前と変わらない、ん?
『…あ、わかった。』
「お、やっと気づきました?」
『襟足、切ったんですね。』
前に会った時は少し長かったはずの襟足が綺麗さっぱり無くなってる。
襟足だけでも案外雰囲気変わるんだなあ。
「正解、気づいてくれて嬉しいです。」
『清潔感があって、とてもいいと思います。』
「これで少しは意識してくれます?」
『え、それってどういう…』
「立ち話も何ですし、移動しましょうか。」
戸惑いつつもさりげなく助手席へと案内され、中間さんは運転席へ。
高級車の中だからか、助手席に座り慣れていないからなのか、それともさっきの中間さんの言葉のせいなのか、変な緊張感に包まれながらお店まで移動した。
そういえば、中間さんの話したいことって何なんだろう。
「着きましたよ、どうぞ。」
『ありがとうございます。…あ、ここって!』
何となく見覚えのある景色かと思えば、中間さんと私が出会ったお店。
昼間はカフェのような雰囲気だったけど、夜に来るとおしゃれなレストランみたい。
やっぱりもう開店してたんだ、これは通うしかない。
中間さんの後ろをついて行きながら店内へ入ると、たくさんのお客さんがいて賑わっているようだった。
そんな店内を横目に、中間さんは奥へ奥へと進んでいく。
連れてこられたのは、お店の一番奥にあるテラス席だった。
『すごい、特別感があっていいですね。』
「このテラス席を確保するために、ここに店を作ったと言っても過言ではないくらいこだわったんですよ。」
『流石、中間さんです。』
「料理も美味しいものを用意してるんで、楽しみましょうね。」
こうして自信を持って自分が作ったものを人に出すことができるって、すごいことだなあ。
中間さんの仕事へのプライドやこだわりを感じるからこそ、よりこの空間が好きになる。
住む世界は違えど、中間さんから学ぶことはすごく多い。
「見つめすぎですよ、Aさん。」
『え、あ、すみません…!』
「襟足ない俺に見惚れちゃいました?」
『そうかもしれないです。笑』
やっぱり中間さんといると純粋に楽しい。
大きな会社の偉い人なのに、不思議だなあ。
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作者名:キオ | 作成日時:2022年8月24日 6時