いちごみるく.【桃】

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｢ねー、英語の教科書わすれた｣

『どんまい』


まぁ大丈夫でしょ って付け足しとく



英語の先生は優しい

5時間目の英語ってきついけど、英語の先生は寝てても怒らない

それに前の桃原くんは大きいから盾になってくれる



チャイムがなり、先生が入ってくる



『ほら、言ってきな』

｢うん｣



彼はガタッとだるそうに立ち上がり先生の方に向かっていった





その間に英語の準備をしていた



彼は戻ってきたと思ったら、私の隣の席に腰をかける


当然、私は困惑した




『...桃原くん、席間違えてるけど』


｢違うよ、先生に石川さんに見せてもらえって言われた｣





そう言って彼は机をぴっしりと私の席にくっつける


いつも隣の席とは離れているし、そもそも隣はいなかったから、
くっつけるのは新鮮




それに意外と近い





｢教科書見せてくださーい｣



ぐっと顔を近づけられる





彼は声も顔も良いから、少しだけ

本当に少しだけ





どきっとした。





『はい』

｢ありがと｣


机の真ん中に教科書を置く




｢じゃあ授業はじめまーす｣


先生の言葉を合図に授業が始まる





＊


睡魔と戦った5時間目



負けてしまった私たちは2人して寝てた




『教科書見せた意味なくない？』


｢んー、まぁ石川さんの隣に来れたから良かったかな｣



...たらしだ

絶対桃原くんたらしだ



『結局寝たけどね』

私はたらされないけどね



あれ、たらされるって言葉あるのかな

そもそも たらし ってなんなんだろう




結局私の頭はそんなことばかり考えていっぱいいっぱいだった

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