40 ページ40
.
「A、」
久しぶりに聞いた大我くんの名前呼びに
胸がギュッ、って締めつけられる。
『...たいがくん、なんでっ、』
なんでここにいるの、って私の気持ちを汲み取ったのか
「傘...また忘れてんのかなって、」
...それはきっと大我くんの優しさなんだよね、なんて
どこかで期待してる自分に気付きたくなくてそう言い聞かせたのに
「でも今日は俺が忘れちゃった、」
なんて、困ったように笑うの。
傘なんて忘れても貸してくれる人とか、入れてくれる人なんて沢山いるはずなのに
まるで私のことを待ってた、なんて都合のいいように聞こえちゃって
したくない期待をしちゃう。
それでも今日を逃したら、今度こそ話せなくなっちゃう気がして
『...傘、入る、？』って自然に誘ってた
.
久しぶりに隣で歩く大我くんに緊張しちゃって
無言が続く帰り道
先に沈黙を破ったのは大我くんで
「聞きたいことあるんだけど...聞いてもい？」って。
『...うん、』
「俺のこと避けてたのは、なんで？」
『.....私ね、あの日大我くんが一緒に帰ろって誘ってくれたのが、すっごく嬉しかったの。』
「ん、」
『だけど佐藤さんと距離が近いところを見たら、あぁ、やっぱり付き合っちゃったのかなって。そしたらなんだか胸が苦しくって、辛い思い...したくなくて避けてた、』
ごめん..なさい、って大我くんの方を見上げれば
なぜだか顔が真っ赤な大我くん。
『えっと、』
「なにそれ」
『へ、』
「嫉妬...ってこと、？」
嫉妬.....？
先ほど自分が発した言葉を思い返してみれば、一気に顔に熱が集まる感覚がした。
『いやっ、あの...っ』
「...期待、していいの、？」
『.....うん、いいよ、』
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
でも気づいたら大我くんの腕の中にいて、ギュッてきつく抱きしめられてた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴの(プロフ) - みんとさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです...！ (2020年8月31日 0時) (
レス) id: e3044d13a4 (このIDを非表示/違反報告)
みんと - すごくおもしろいです！これからが気になる… (2020年8月30日 17時) (レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴの | 作成日時：2020年8月27日 8時
