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06* ページ39

*



『っ、涼太…』

「んー?…んん?」


腕が緩んだ隙をみて、私は勢いをつけてベッドから飛び出した。


「ん、あ、れ?…A?」

『……。』

「え?なんで、なんでAがいるの?」

『…呼び出したのそっちじゃん』

「や、うん、…それは覚えてるけど、だってもう朝じゃん。なんでまだ居るの?俺のことなんか気にせずにいつもみたいに帰って良かったのに」


頭を掻きながら苦笑い。

そんな涼太を見て、つきんと胸が張り裂けるように痛んだ。


ぎゅっと身体を丸めて耐える。

涼太はそれに気づいて、どうしたの?と慌てた声を出す。


…どうしたの、なんて。

そんなの……傷付いたからに決まってるじゃん。



私にはなにをしても赦されると思ってた?

そこに愛はなくても、涼太だからいいって思ったんだよ。






眠っているあいだ抱きしめられた力の強さと、うなじに触れた唇の柔らかさ。

これは別の女性が受けるはずだった涼太からの愛情。



酔っ払ってた涼太は、相手を間違えた。

…それだけのこと。





言葉の端々から分かる涼太の気持ちに、息が出来ない。

そこまで、そこまで…。

私は涼太にとって、なんの意味もない女だったの……?




『…涼太が誰かと間違えて離さないから抜け出せなかったんだよ。帰りたくても帰れなかったの!』

「え?誰かって──」

『…帰る』

「A?」


散らばっていた服をかき集めて、シャワーを借りることもせずに身に付けていく。

どんどんと鳴る足音は、これでもかってほど私の不機嫌さを表すけど抑えたくても抑えられそうにない。



「A、待ってよ」

『……帰るって言ったじゃん』



玄関へと向かう私の後ろを着いてくる涼太の足音。

いつも引き止めないくせに。

見送りなんて一度もしてくれたことなかったくせに。



「ねぇ、待てって。なんで怒ってんの?なんか今日おかしくない?」

『別に。ただの気まぐれでしょ』

「気まぐれって、」

『…涼太、…もう、やめよっか』

「A?」

『ばいばい』



涼太の顔は見れなかった。

閉まるドアは阻止されない。


重たい音を響かせて閉じた扉は、再び開くことはなかった。



二度とこの扉は開けない。

もう、二度と。





 

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∵ R ∵ - 玲於くんがかっこよすぎて、涙が止まりません…(感泣) (2017年4月10日 22時) (レス) id: bc068a0168 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 玲於の話好きです。 (2017年1月4日 15時) (レス) id: 37f184468a (このIDを非表示/違反報告)
マダムムラサキ(プロフ) - 風すけさん» ありがとうございます!!読ませていただきます (2016年8月5日 21時) (レス) id: cdbc4f2c0b (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - こんにちは、おそくなってすみません。そうですね、なかなか300まで遠いです。今、新しい小説を書いているのでゆっくり300を目指そうと思います。新しいのを見たいって言っていただけてすごく嬉しいです。ありがとうこざいます! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - 遅くなってごめんなさい。リクエストありがとうございます。了解しました! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風すけ | 作成日時:2016年3月9日 15時

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