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Side ALAN
出会いは4年前、学園ドラマで。
出演者には同世代が多く、空き時間やプライベートまで仲良くしていた。
そんな輪の中にAは一切入ってこようとしなかった。
役柄と同じで笑わない。
役柄と同じで喋らない。
俺たちとの間に一本の線を引いて、俺たちを寄せ付けなければ自らも入ろうとしない。
自分の世界に閉じこもり、ずっとひとり。
真っ黒でまっすぐな長い髪に、アーモンド形の目、ピンク色の柔らかそうな唇。
そして、変わらない表情。
無表情。
人形みたいで近寄りがたかった。
そんなAを4年経って会員制クラブで見つけたときは驚いた。
そんなイメージ全くなかったから。
俺が回すDJを目を閉じて聞いていたAは、その場にいた誰よりも綺麗で目立っていた。
朝ドラヒロインに抜擢されて世間が注目をしている旬の女優ってこともあって、売れないモデルとかが僻みを込めて指差してちゃかしたりして。
そういうの全部、ステージの上からだとよく見えた。
Aが楽しくなさそうだってことも、全部。
音楽を楽しみに来てるわけじゃない。
だったら何をしにこんなところに来てるのか。
話しかけたのは、好奇心からだった。
一夜を共にしてもAのことはさっぱり分からなかった。
でも、この部屋の中に閉じ込めていると思うと、急にこのままさよならするのが惜しくなった。
「……A、」
『なに?』
ベッドの上にひざで乗りあげれば、ギシ、と軋む音がした。
覆いかぶさられるのを察して仰向けになってくれることから、一晩経った今もまだ俺を受け入れる気はあるらしい。
腕を俺の首に絡ませると、ほら、もうそんな顔をして。
欲しいならいくらでもあげる。
『…彼女とか、いないの?』
首筋に唇を近づけたら、今さらそんなことを言うA。
なめらかな肌から青白く浮き出ている血管が小さく脈打っていて、鼻先でくすぐってみる。
汗の匂いまでもあまい。
「聞いちゃうの、それ」
『じゃあ、…』
もう一回、なんて言われて、引き寄せられれば、身体がまたAを求めはじめた。
相変わらず、外は雨。
雨の音は俺に向けられた警告音のようでもあって、すべてを都合良く掻き消してくれる免罪符のようでもある。
きっと雨がすべてを流してくれる。
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∵ R ∵ - 玲於くんがかっこよすぎて、涙が止まりません…(感泣) (2017年4月10日 22時) (レス) id: bc068a0168 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 玲於の話好きです。 (2017年1月4日 15時) (レス) id: 37f184468a (このIDを非表示/違反報告)
マダムムラサキ(プロフ) - 風すけさん» ありがとうございます!!読ませていただきます (2016年8月5日 21時) (レス) id: cdbc4f2c0b (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - こんにちは、おそくなってすみません。そうですね、なかなか300まで遠いです。今、新しい小説を書いているのでゆっくり300を目指そうと思います。新しいのを見たいって言っていただけてすごく嬉しいです。ありがとうこざいます! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - 遅くなってごめんなさい。リクエストありがとうございます。了解しました! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風すけ | 作成日時:2016年3月9日 15時