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ドアを前に立ち止まって一度、深呼吸。
スゥ、ハァ。
………よし!
息を整えてからドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、仲良さげに談笑している7つの影。
その中のひとつを探してしまうのは、仕方ない。
涼「玲於、なんでマスク?」
玲「……花粉症」
涼「ああ」
龍「毎年大変そうやな」
玲「っす」
マイク片手に音量調節をしていた涼太君と龍友君に挟まれた玲於は、マスクを鼻まであげてズッと音をたててすすった。
本当に花粉症なのかな…。
だって、昨日…。
私のそんな疑問は慌ただしくなった空気にすぐに打ち消される。
バンドメンバーが到着して、引き締まった空気の中、リハーサルが始まった。
「「「お疲れさまでした!!!」」」
朝からぶっ通しで行われていたリハーサルがようやく終わったのは、14時すぎ。
だけど、音楽が鳴り止んでも誰ひとりすぐには休もうとせず、話し合いを続けている。
メ「後ろから見てて気付いたんだけどさ、全体的にもうちょっとキレ良く動いたほうがいいかも」
玲「分かりました」
リハーサル中、ずっと玲於を目で追っていたから気付けたことだけど、メンディーさんの言う通り玲於の動きがいつもより鈍かったような気がした。
今も鼻かんでるし…。
本当は昨日の雨で風邪ひいたんじゃないの…?
裕「A、水ある?」
『……』
裕「おーいA?」
『あ、ごめん。裕太君……なんだっけ?』
裕「水。ある?」
『あるよ。はい』
裕「さんきゅ。みんなの分もらってくわー」
よく冷えた水を5本と、ボーカル用の常温の水を2本、裕太君に手渡す。
それからマイクを元の位置に戻したりホワイトボードを片付けたりしていると、汗を拭き終えたみんながケータリングに向かうためバンドメンバーやスタッフも交えてぞろぞろと部屋を出て行くのが見えた。
そんな中、最後尾にいる玲於と隼の声が聞こえてくる。
隼「玲於、大丈夫?」
玲「大丈夫だって。……ただの花粉症」
隼「ならいいけど。あ、Aも早くしないと食いっぱぐれるよ」
『う、うん。今行く』
突然隼に話題をふられて予想外のことに思わず声がうわずった。
玲於がちらっと私を見て、私を待ってくれている隼を置いて先に部屋を出て行ってしまう。
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∵ R ∵ - 玲於くんがかっこよすぎて、涙が止まりません…(感泣) (2017年4月10日 22時) (レス) id: bc068a0168 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 玲於の話好きです。 (2017年1月4日 15時) (レス) id: 37f184468a (このIDを非表示/違反報告)
マダムムラサキ(プロフ) - 風すけさん» ありがとうございます!!読ませていただきます (2016年8月5日 21時) (レス) id: cdbc4f2c0b (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - こんにちは、おそくなってすみません。そうですね、なかなか300まで遠いです。今、新しい小説を書いているのでゆっくり300を目指そうと思います。新しいのを見たいって言っていただけてすごく嬉しいです。ありがとうこざいます! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - 遅くなってごめんなさい。リクエストありがとうございます。了解しました! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風すけ | 作成日時:2016年3月9日 15時