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雨の中待たせたら悪いと思って大急ぎで帰ってきたのに、マンションの前には誰もいなかった。
スマホを確認すると、" マンションの前にいる " ってメッセージが確かに残されているのに。
部屋の前で待っているのかな…。
そう思ってエントランスを抜けて部屋の前まで来てみたけど、大樹はどこにもいなかった。
「……なに?」
玄関の電気を点けながら大樹に電話する。
長いコールのあと、くぐもった低い声が聞こえて、嫌な予感がした。
『大樹…今、どこにいるの?』
「あ、戻ってきた?」
『え?』
「じゃ、今から来て。俺の部屋」
『……。』
今から来てってどういうこと?
それに、切れる直前、電話の向こうで「誰ー?」って聞こえた甘ったるい声。
『どいつもこいつも…っ!』
口に出しても気が済まない。
汚い言葉で直接罵ってやりたい。
今まで溜め込んだものまるっとすべて全部。
なに堂々と浮気してんの?
バレバレだったけど、私には隠そうとしてたじゃん。
逆らわずに我慢してきたのに、一体なんなの。
イライラしながらマンションを出て、怒りに満ち溢れたテンションのまま大樹のマンションに向かう。
大樹のマンションの前。
ロックを解除して貰おうと自動扉の前を通過すると、ちょうど扉があいて中から女性が出てきた。
方向転換してエントランスに足を向ける。
「なんだ、可愛くないじゃん」
すれ違いざま、ぼそっと呟いた言葉を聞いて大樹の浮気相手はこの女だと確信した。
顔を見てやろうかと思って振り返るけど、女はカツカツとヒールの音を鳴らして足早に去っていく。
…いい逃げかよ。
またイラッとする。
「あがれば?」
『ここでいい。話がある』
出迎えてくれて早々にリビングに足を向けようとした大樹を引き止める。
さっき決めた。
全部捨ててやるって。
あんなに好きだったのにじわじわと冷めていった熱情は、今日の出来事で一気に冷却されてもう1グラムすら残っていなかった。
勝手な女だって言われてもいい。
もう付き合ってられない。
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∵ R ∵ - 玲於くんがかっこよすぎて、涙が止まりません…(感泣) (2017年4月10日 22時) (レス) id: bc068a0168 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 玲於の話好きです。 (2017年1月4日 15時) (レス) id: 37f184468a (このIDを非表示/違反報告)
マダムムラサキ(プロフ) - 風すけさん» ありがとうございます!!読ませていただきます (2016年8月5日 21時) (レス) id: cdbc4f2c0b (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - こんにちは、おそくなってすみません。そうですね、なかなか300まで遠いです。今、新しい小説を書いているのでゆっくり300を目指そうと思います。新しいのを見たいって言っていただけてすごく嬉しいです。ありがとうこざいます! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - 遅くなってごめんなさい。リクエストありがとうございます。了解しました! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風すけ | 作成日時:2016年3月9日 15時