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Side REO





「いつから居んだよ」

「ずっと。……あ、スパイとかそんなんじゃないから。俺はどっちかっていうと玲於の味方」

「……聞いてないし」

「突き放したつもりかもしれないけど、それで玲於までもが傷付いてたら意味ないでしょ」

「俺は別にどうなったっていい」

「だからって──」

「大樹に言われた。Aを返せって。俺もAのもとに戻るからって」

「は?なに今さら」

「Aは俺に抱かれてるとき、ひでーなこの女って俺が思うくらい大樹のことしか見えてなかった。なのに、最近様子がおかしかったから大樹も気付いたんじゃねーの」

「そのまま奪えば良かったじゃん」

「無理。Aを戸惑わせたくない。大樹が戻るのなら、それがベスト」




…おかしいよな。

俺のこと見ろよってずっと思ってたくせに、いざとなったら手放せてしまうなんて。


俺と大樹に板挟みされて困るAなんか見たくない。

Aの心はもともとは大樹のもので、俺は隙を見てちょっかいをかけただけに過ぎないんだから、俺が手を引けばすべてがうまくいく。


邪魔者はさっさと退散すべき。




「玲於がそう決めたのなら、俺はなんも言えないけど」

「…帰るわ」


立ち上がって隼の傘から出る。



「びしょ濡れじゃん。送る」

「いい。ひとりになりたいし」


水族館のタクシー乗り場でタクシーを拾うから、って続けて言えば、隼は不満げな顔をしながらも納得して頷いた。



「ちゃんと風呂入れよ」

「分かってる」

「また、明日な?」

「ああ」

「元気出せよ」

「しつけーな。大丈夫だって」


無理やり笑ってみせると、隼は不満げな顔色を更に濃くさせた。

そんな隼に気付いてないふりをして足早にタクシー乗り場へと向かう。




雨が降ってて良かった。

隼にはバレバレだったかもしれないけど。


頬を伝っていく水滴を手のひらでそっと撫でた。





 

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∵ R ∵ - 玲於くんがかっこよすぎて、涙が止まりません…(感泣) (2017年4月10日 22時) (レス) id: bc068a0168 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 玲於の話好きです。 (2017年1月4日 15時) (レス) id: 37f184468a (このIDを非表示/違反報告)
マダムムラサキ(プロフ) - 風すけさん» ありがとうございます!!読ませていただきます (2016年8月5日 21時) (レス) id: cdbc4f2c0b (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - こんにちは、おそくなってすみません。そうですね、なかなか300まで遠いです。今、新しい小説を書いているのでゆっくり300を目指そうと思います。新しいのを見たいって言っていただけてすごく嬉しいです。ありがとうこざいます! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)
風すけ(プロフ) - 遅くなってごめんなさい。リクエストありがとうございます。了解しました! (2016年8月5日 17時) (レス) id: 9031f63977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風すけ | 作成日時:2016年3月9日 15時

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