保健室 ページ13
「…なんや、先生おらんやん」
保健室の中に入るなりそう呟くあいつ
「とりあえずここ座るか。…降ろすで？」
事前警告に頷くと
あいつは普段の適当ぶりからは想像できない丁寧さで
私をベッドの端に降ろしてくれた
部屋を動き回って勝手に色んな引き出しを開け閉めして
私の元に戻って来て
「とりあえず俺が応急処置するわ。どこケガし」
「あんたが！？」
「あかんか？」
「あかんっていうか信用できない」
「ハハッそれよう彼氏に言うなぁ笑
まぁ見とき？足首と顔やんな」
そう言ってテーピングを片手に
床に跪いて私の足首を処置し始めた
普段の私だったらあいつが発した
『彼氏』という言葉に噛みついていた所だったけど
今はなぜか素直に受け入れた
きっとケガのせいだよね
まだショックでそれどころじゃないんだよ、きっと
頭の中でそんな葛藤をしているうちに足首の処置が終わったようで
「出来たで！ちょっと動かしてみて？」
恐る恐るさっきは座っているだけで痛かった足首を動かす
へぇ、意外とやるじゃん
私の足首を見つめるあいつの顔をチラッと見る
まつげ長いなぁ、なんて思っていると
急にこっちを、それも上目遣いで見てくるから慌てて目をそらす
「どぉ？」
「あ、うん。さっきより全然マシ」
「よかったー」
久々にテーピング巻いてん、と
フニャッと笑うあいつになぜか一瞬胸が高鳴った
「ほな次顔な？」
次は急にぐっと距離を縮めて来た
顔の距離は30cmほどしか離れていない
それなのにあいつは
しみたらごめんなぁ、なんて言って
消毒液を浸した綿で私の顔をじっと見つめて手当している
もしやとんだ鈍感？
それともこれも計画通り？
計画だとしたら私は今まんまとあいつに乗せられてる
どうせ私のことは暇つぶしのオモチャとしか思ってないんだから…
誰にでもやってるんだから…
ちゃんと自分保たなきゃ。
「…ん。終わり」
「ありがとう」
「あれ？俺にとうとう惚れたん？」
「はぁ！？」
「素直にお礼なんて言うてー」
「助けられたらお礼くらい言うから。
私もそれくらいの礼儀わきまえてるから」
「ふーん？」
ニヤニヤして道具を片付けに行った
落ち着けA。
こんなの好きになる？ならないよね？
この微妙な空気から早く抜け出したいけど
戻ったらあの人たちいるし…
「どしたん？この世の終わりみたいな顔してんで笑」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てでぃー(プロフ) - 夏さん» 教えてくださりありがとうございました！これからも読んでいただけると嬉しいです。 (2017年8月23日 18時) (
レス) id: 031adc9624 (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - 夏さん» ページ12では『お大事にして欲しいわねー』を、ページ16では『はい！お大事にしてくださいねー』を言い切る前に"あいつ"と桐山先輩が話し始めたことを表した意図的表現だったんですが、誤解を招いてしまい申し訳ありません。 (2017年8月23日 18時) (レス) id: 031adc9624 (このIDを非表示/違反報告)
夏 - ページ12【お大事にして欲し】→欲しい、 ページ16【はい！お大事】→はい！お大事に だと思います。 (2017年8月23日 16時) (レス) id: 1a0acc03b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てでぃー
| 作成日時：2017年8月11日 0時
