ツンデレ上司 [黄] 番外編

おやすみ ページ4

「先輩…？」

「ん！？ああ！考え事や、なんでもない」



ようやく我に返ったよう



私が間違えて『先輩』って呼んじゃったのも気づいてないから
相当考え込んでたんだろうなー



なんて考えていたら私のアパートの前に着いていた


そういえば先輩の家から結構近いんだっけ



「じゃあここで大丈夫だから」

「そか」

「今日はありがとう。おやすみ」

「おやすみ…の前に」

「ん？」



真剣な顔の中間先輩



一目惚れした時と変わらずカッコいいな…


とかのんきに思っていると




その顔が迫ってきて


私が反応できる前に左ほほに柔らかい感触




これってまさか…


チュー？




そんなことに気づいたが最後

どんどん顔に熱が集まっていくのを感じる




「ほっぺたやらかいな」




そんなことを言って微笑む中間先輩の
目なんてもちろん見ることはできず

代わりに先輩の綺麗にワックスがかけられた革靴に目を落とす



「じゃあおやすみ」

「お、おやすみ…」


「挨拶は目ぇ見て言い」

「無理！」



そんな私の抵抗も虚しく



今度は顎に何か感触がすると思ったら、


視線が強制的に上に向けられて

視界は先輩の顔でいっぱいになった




「ほれ、言ってみ？」

「…おやすみ」



「誰に言っとるんやっけ？」

「…おやすみ、中間先輩」



「やなくて？」

「おやすみ！…淳太！」



「ん、よく出来ました」



そう言って近い顔の距離を変えないまま

私の頭を2回撫でた先輩は




「おやすみ、A」

「っ！」




最後にもう1回私の顔が真っ赤になるのを確認してから
満足げに笑って帰って行った



初日から家にお邪魔させてもらって、
近すぎる距離、手繋ぎ、ほっぺにチュー、
顎クイ、頭ぽんぽんに耐えた私


…よく頑張った。



ただやっぱり振り回されてばっかりは悔しいから
早く免疫つけて中間先輩…じゃなかった、淳太を振り回してやるんだから！


…とか思っちゃうあたり私はきっと相当な負けず嫌い




とりあえず小瀧に今日のことを話して作戦を打つか。




中間淳太！今に見ていなさい！！

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