ツンデレ上司 [黄] 番外編

失恋 ページ30

その子がパッと振り返った


やっぱりそうや



真っ白のワンピースにゴールドのアクセサリーを纏ってサンダルを履き

会社では絶対にまとめとる髪を下ろしとる…(名字)



案の定向こうもめっちゃ驚いとるし、俺かて目が離されへん



めっちゃ可愛い…




なんに次に店から出てきたんは

私服を着ていつも以上にモデルっぽい流星



照史のメッセージが頭に浮かぶ



(名字)がどうかは分かれへんけど流星は確実に好きやんな

あんな優しい顔してるん見たことないし



まだ俺が見てるのに気づいた(名字)は
流星にキラキラ笑顔を向けて手を掴んだ


そのまま手を繋いで歩いて行く



流星はこっちには気づいてへんけどニヤけまくっとるし

(名字)はこっちを見たまま見せつけるように歩いて行く



その顔は…怒っとる？

いや、傷ついとる？



何で？


傷つくのはこっちの方やん…



大体の人が考えとることは表情を見ればすぐ分かるのに

いつもと違って珍しく複雑な表情をした(名字)の心情は全く読めへん



ただ1つだけ分かったこと



俺は失恋した







「おっ淳太いらっしゃーい」

「淳太くんなんで既読無視してん！」

「淳太も明太子食う？あっ共食いだからあかんか！あひゃひゃひゃ」



導かれるように濱ちゃんの店に行くとそこにはすでに照史としげが



「…なんでそない勢揃いしてん」

「照史としげはたまたま飯食いに来とってん
淳太まで来てびっくりやわぁ笑」


「…濱ちゃん。1番強い酒」

「うわぁ荒れてんなぁ笑
あかんで、せめてビールからや」



カウンターに座っとる2人のどちらかの隣に座らなあかんけど


今しげにいびられ続けるんはキツいし

照史にハート振りまかれるんもキツいし…



「あ、淳太くんここ座る！？俺としげの真ん中！」



最悪の展開

まあ目の前濱ちゃんやしええか…



俺がものの3分で1杯目を終えると
濱ちゃんは驚きながらも無言で2杯目を注いでくれた



「これも。酒だけやとまずいやろ」



そう言って俺の大好きなタコの唐揚げを出してくれる



俺が初めて自主参加した新入社員歓迎会で
美味しそうに(名字)が食べてくれて嬉しかったっけ…


ってあかんあかん。俺失恋したんやから！



「ありがと濱ちゃん」


「んでぇ？なんでそんな荒れてんねん」

「せやんなぁ！淳太くんいつも仕事で嫌なことあった時も
めっちゃ冷静か早く家帰って1人酒やんなぁ？」




確かになんでここ来たんやろ…


ってせやった

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