私があなたの彼女です [赤緑]

運命の分かれ道 ページ4

卒業式は厳かな雰囲気の中行われた

私たちは今年は3人ともバラバラのクラスで
クラスの中のあいうえお順に名前が呼ばれて行く



「神山智洋」

「はい」


静かに、でも凛々しく立ち上がる神ちゃん



「重岡大毅」

「はい！」


体育館の後ろまで聞こえる大きな声で
ふざけず背筋を伸ばして立ち上がるしげ



「(名字)A」

「はい」


いざ自分の名前を呼ばれて立ち上がると
本当に卒業するんだな、と胸が熱くなった



その後も校長先生の言葉や後輩の言葉、
楽器の演奏を聴いたり合唱したりで

あっという間に卒業式は終わってしまった






「いやぁー俺らほんまに卒業したんやな！」

「…ね」


「何やお前、お？泣くか？」

「うるさい泣かないし」


ふざけて私の顔を覗き込むしげをしっしっ、と追い払い




「今日で最後なんて信じられへんな」


神ちゃんのしみじみとした言葉で改めて振り返り校舎を見る




「…3年間！お世話になりましたああああ！！！」

「うわっちょっとしげ、何かと思ったじゃん！」



「楽しい高校生活ありがとうございましたぁー！！」

「神ちゃんまで！？」




ほらお前は？とでも言いたそうな目で2人が私のことを見る



「…た、楽しかった！ありがとう！」




「ぶっお前今、最初声裏返ったやろ笑」

「ほらほらからかわんといたげて笑」






3人で校門を出ると
そこにはツバキちゃんの姿が



「ツバキ！」

「お、紅さんやん！」



「もう遅いよ大毅ー校舎に感謝なんて叫んじゃってさ？笑」

「ごめんごめ…って聞くなや！笑」



「神山くん小学生みたいだった笑」

「高校卒業なのに！？笑」




「Aちゃんは、可愛かった笑」

「え！？」


急に注目を私に向けられてびっくりする



「あ、や、やめてよーやらされただけだから…笑」

「あっ顔真っ赤！りんごみたい！」



こんなに可愛い子が他の人に『可愛い』って言ったら
普通嫌味っぽくなりそうなのに


ツバキちゃんはそれを全く感じさせないから

本当にいい子なんだと思う。




「ほな…卒業おめでとう、やな。みんな」

「ふふっ、せやな。
じゃあ俺とAはこっちから帰るから、ごゆっくり」




「おぉ！あ、神ちゃーんこいつのボイトレ頼むわ！」

「もうこれ以上大きな声出す気ないから！」


「おっかしいなぁ今は大声出るんや！」

「重岡大毅は声小さくするトレーニングしてください！」




最後まで言い争ってから

私と神ちゃん、しげとツバキちゃんは




それぞれ別の運命の分かれ道を歩き始めた




.

ずっと前から→←ツバキちゃん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す