私があなたの彼女です [赤緑]

自業自得 ページ40

「ま、そうやって一生お互い傷舐め合えば？
あ、重岡に例の件よろしく。
早よせな俺の口が…つるっと、滑ってまうから笑」


淳太さんは微笑み
落ちたままの紙切れを踏み潰してから

優雅に教室を出て行った



「A！」


その瞬間駆け寄る神ちゃん



「気にしたらあかんよ、ただ人を嫌な気分にさせたくて…」


「…ううん」

「え？」


「ううん。違う」

「A？」



「…自業自得。私が最初から嘘つかなければ…」



淳太さんは間違ったことは言ってない

私がずっと目を背けている真実を突き付けてきただけ。



「…言うん？しげに」




ツバキちゃんが羨ましかった

なんで、どこが違うの、私の方がよっぽどしげのこと…



もしツバキちゃんがいなければ、もしかしたら。



ずっと胸の奥底で眠っていたその気持ちは

しげが記憶をなくし
ツバキちゃんが本当にいなくなると同時に

最初は軽い期待として頭を出した


けど。




「…言え、ない」





やっとしげの瞳に映ることが出来た、単純な嬉しさ

好きな人が、自分を好きでいてくれる不思議な安心感


最近はそれ以上のことも感じた



「確かに最初は、ラッキーくらいの気持ちだったかもしれない。

けど実際にしげと過ごしてみて、昔とはちょっと違くて…


でも"今のしげ"を少しずつ知って

私はどうなってもいい、
一生ツバキちゃんの代わりでいいから

しげのことを守りたいって。



昔のことを知らないままどんどん周りの環境が変わる中で

私だけが、唯一変わらない存在でいたいなって…



それくらい、しげのこと好きになっちゃったの。


分かってもらえないだろうけど…」



静かに横に首を振る神ちゃん



「分かる。…だから、応援する」


そう言い目を逸らした




その日以降
私達はあの教室でお昼を食べなくなった



「あ」


カレーを食堂のトレーにこぼした瞬間
スッと差し出される紙ナプキン



「ごめんありがとう笑」

「もー気ぃつけやって笑」


神ちゃんとも今まで通り接していた



「しげええの？」

「期末勉強って言ってある。夜家で会ってるし大丈夫だよ」


そか、と軽く返された



あれ以降嫌がらせも終わった


とうとう、普通の日常。

そう思った



「しげからLINEや」

「なんて？」


「4限後、中庭で話そ。やって」

「あれ今日私一緒に帰ろって言われ…
あ、予定出来て遅れるって今来た」


「変やなぁ。ま、一緒に行ってええんちゃう？」

「そうだよね、3人で帰ればいいもんね」



お互い返信し
そのまま3限の授業へ向かった

苦しみ→←お前

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す