私があなたの彼女です [赤緑]

無謀な計画 ページ38

「うーん今回は違うかなぁ。神ちゃん何か言ってたの？」

「いや？何も」


ふーん、と流してまたテレビを眺めると
突然グッと腕に力を込められた



「ちょ、痛い痛い痛い！」

「なぁAちゃん？」


「何って！痛いじゃん！笑」

「俺の彼女やんなぁ？」



「…へ？」




「Aちゃんって、俺の彼女やんな？」



「…うん。もちろん」




「…ならいい」


そう言い私の首筋にぴたりと鼻をくっつける






「どこにも、行かんとってな」






「…うん。ずっと大毅くんのそばにいるよ」






なぜだろう




こう出来るのもあと少しな気がした







神ちゃんに全てを打ち明けてから
私達はある計画を実行した



『多分やけどさぁ、お昼ちゃうかな』

『え？』



打ち明けた帰り道にふと言われた



『昼みんな最近、鞄教室の端の方に置いて
真ん中で食べてるやろ？せやから
サークルの人かそれ以外か分かれへんけど
その間に入れてるんちゃうかな』

『確かに…』



それ以降私はお昼休みに必ずどこかで教室を出た


お手洗いに行くふりをして立ち上がり
教室のドアから死角の所で待って

何か異変があれば神ちゃんが教室の中から連絡してくれるという
単純で無謀な計画だった



最初は失敗続きだった

犯人は代わりにスマホのメッセージやポスト投函で
紙の内容を伝えて来たからだ



もうすぐで1週間が経つという時

諦めかけていた計画がとうとう奇跡的に成功した



しげと濱ちゃんが同じ英語の授業に行くと早めに教室を出て
私もお手洗いに行く、と教室から出て数分



「あ、俺トイレ行きたいんやった！しげ先行ってええよ！」

「何やねんほんま笑 はーい席取っとくなぁ」



すぐ近くで濱ちゃんとしげの声が聞こえてから数十秒後

ブーン、とスマホが震え神ちゃんの名前が映し出され
すぐ消えた



＞人少なすぎて

＞喋ったら聞こえるから話されへんけど




＞いる




通話がすぐに切られ代わりにLINEが届く




陰で大きく息を吸って吐いてから

少しだけドアを開けると



すぐそこに置いてある私の鞄に覆いかぶさるように立ち
自分の鞄を探る人影


そしてそこからくしゃくしゃの紙切れを取り出して

私の鞄にぽとりと落とすのが見えた





「…うそ」




その人をよく見ようとドアをもっと開くと

思わず出た声



教室の奥にはこちらを見て
驚いたような、悲しいような顔の神ちゃん




私の声に身体をびくっとさせてから
ゆっくりと上げた顔

綺麗な目には光が宿っていなかった









「…淳太、さん」






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