同期以上友達未満 [赤] RETURNS

入社日祝い ページ34

「え？そうだっけ？」

「っちゅうか小瀧俺には言うてくれてへんやんけ！」



「あ、そか。重岡先輩もおめでとうございます！」

「流星はなしてん流星は」


「今朝メッセージ入れときました！」

「なおさら何で俺には言わへんねん！」



小瀧をかわしながら俺の隣の自分のデスクに来て
俺の方を見て口パクで『おはよ』と言うAに

嬉しい気持ちを押し殺し手を少し上げて返した



「へぇーAちゃんらが来てもうそない経つんやぁ笑」


腕を組み思い出すように斜め上を見ながらフニャッと笑う濱ちゃん



「何か同期で考えてるん？お祝いみたいな」


照史も自分のデスクに座りながらそう聞く



「そりゃあもちろん可愛い後輩とデートっすよね！」

「いやおかしいじゃん。うーん何する重岡？」



「何するも何も小瀧が言うまで俺ら覚えてへんかったしなぁ」


俺が椅子でくるくる回っとるとAは手をパシンと叩いた



「そうだ！3人で同期飲みしよ！」

「まじすか！俺あそこの居酒屋がいいっす！」


「いやここ3人な訳ないでしょ笑」

「えー！そこを何とか！」



その日は1日中ワーワー言う小瀧に耐え
俺とAと流星で飲みに行くことに



「ねぇ小瀧くんから怒涛のメッセージが」

「んふ、おれも笑」



「メッセージならまだええやろ俺なんかスタンプやで？
あいついくつケータイ持っとんねん」


スマホに何度も何度も表示される
『non k.がスタンプを送りました』を眺めてから

濱ちゃん神ちゃんにそれぞれから救護要請を送り
無事小瀧が回収されたのを確認してから飲み始めた




「つぎどうする〜？」

「ハァ？お前そろそろやぞ」



「まだだいじょーぶだもん！」


あれから3時間経ちAはかなり仕上がって来た



「ほらりゅーせーくんのも！なににする？」

「おれ？んーでも…」



「いーいから！」


流星にメニューを持たせたAは
流星にもたれかかるようにしてメニューを覗き込む



「ちょ、Aーあれやな、やっぱ次は水…」

「だめなの？」



「だめ…やないな…」


酔っ払いの上目遣いを見事に食らった男・流星は
あえなく折れ何なら若干ニヤニヤしとる



「(名字)。帰るぞ」

「えーだってだいきだってこれくらいのんだことあるでしょー」



「それ、は…おいゴルァ流星」


Aが濱ちゃんのことが好きと聞いた次の日の
流星と淳太との飲みが脳裏に浮かんだが慌てて脇に避けると

流星も同じことを思い出したのかニヤついとったけど
俺の顔を見て一瞬で背筋が伸びた



「おん。帰ろ」

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