カラフルクリスマス [JW] 短編集 2

〜フルーツタルト・サプライズ〜 ページ17

「ま、そーゆー優しいとこが
Aちゃんの好きなとこなんやけどな！」


ヘヘッと笑いながらすぐにサラッとそんなことを言うから
私はまたさらに好きになって、期待しちゃうんだ。



「あぁーもうすぐクリスマスかぁー」

「ですねー…」


「Aちゃんは何か予定あるん？」

「私…そうですね、まぁ、はい笑」



何もない、と言うと
もれなくバイトを入れられることがあるからいい具合に誤魔化す

いくら暇でも流石に"クリスマスにバイト"は避けたい所。



「ほぇーええやんか」

「先輩は？何かあるんですか？」



「あるあるカッツカツ！
…って言いたいとこやけど、すっからかんやねんなぁ笑」


ウェーン、と腕を顔に当て泣き真似をする濱ちゃん先輩



「せやからもう俺はバイトに全力投球するわ！
寂しさ忘れるほど働く！稼ぎ時やし！」

「そう、なんですねー…」


そう聞いたらさっきとは少し別の考えが
頭の隅にぽわんと浮かんだ





外も大分暗くなってきた頃

店長が突然私と濱ちゃん先輩にビラを託し
外で配って来て欲しいと頼まれ

急かされるがままにコートだけ羽織って
そのままお店の外へ



「さっっっっっぶ！！！！」

「寒いですね…」


「とりあえずさっさとビラ配ろ、んで早よ戻ろ」

「はい！」



2人で寒さの中必死に笑顔を作ってビラを配るけど
やはりなかなか束は減っていかない



「あぁーもうほんま最悪やわぁ！」


とうとう諦めモードに入ってきた濱ちゃん先輩が
店先の壁にもたれうなだれるから

私も少し距離を空け隣に立ってしばし休憩



「こんなに寒いものなんですね…」





「それやで！…はぁ。ほんま、俺は誕生日に何やってるんやろ」




「…え？誕生日？」





「そそ、12月19日！俺の誕生日」



「えっおめでとうございます！」



かじかんだ手でパチパチと拍手すると

ありがと、と少し照れ臭そうに笑ってから
何かに気づいたような顔をし悪戯っぽく笑う




「さてはハマダの誕生日覚えてへんかったやろー？笑」

「…覚えてますよ？笑」


「ほなほら、プレゼントとか！楽しみやなぁー何くれるん？笑」

「えっと、うーん…」



「ハハッ、うそうそ笑 そら言うてへんもん知ってたらすごいで！？」

「すいません…」



「ほんま、冗談やから全っ然気にせんといて？」



そう言いつつも
せやこれがあった！とポケットの綺麗な包みの中から
新品の手袋を引っ張り出し

"さっき後輩ちゃんにもろてん笑"なんて笑ってる先輩を見て
焦りと嫉妬が胸の中を渦巻いた

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