カラフルクリスマス [JW] 短編集 2

Green Magic ページ11

スケジュール帳の12月24日の枠は
結局真っ白のまま当日を迎えてしまった



家族とも特別何かをする訳ではなさそうだし

今から友達を誘うにも“彼氏と予定が”なんて言われたら
申し訳ない上余計寂しくなるだけだし

今日冬休みの宿題を始めるのも何かアホ臭いし。



お昼を食べ終わった後自分の部屋のベッドの上に座って
うーん、と唸りながら悶々と考えていると

どんどん時間が過ぎていくから


あっという間にイブが終わってしまうのを恐れた私は
とりあえず部屋着から着替え外に出ることにした




クリスマスという特別な日に気分だけでも合わせようと

自分にしては綺麗めの格好をして
髪もメイクもそれなりにちゃんとして靴はヒールを選ぶ


まぁ、誰に見せる訳でもないんだけど。



好きな人こそいるけど
進展どころかお近づきになれる気配もないし

だからもちろんクリスマスだって…



なんてくよくよ考えているうちに
1人で張り切って出かけるのが惨めで恥ずかしく感じて来たから

それ以上考える前に家を飛び出した





とりあえず街の1番賑やかな所に行ってみると


あちこちにツリーやリース、サンタさんやトナカイ
キラキラの装飾が散りばめられていて

温かくて甘い匂いやお洒落なクリスマスの洋楽が漂い

周りはカップルや家族、友達同士の人だらけ



雰囲気だけでも楽しもうと適当にぶらぶらと歩きまわり
ウィンドーショッピングをしていると


たまたま角を曲がって来た人と
出会い頭にぶつかりそうになった




「わ、すいません！」


「いやいや僕の方こそすいませ…あれ？」




その人が不思議な反応を示すから顔を上げると
そこには見覚えがありすぎる人が立っていた




「(名字)さん…やんな？」


「え、神山くん…？」




「やっぱり！偶然やなぁ」



そんなことを言ってニコニ笑う彼は
偶然にも学校で同じクラスの神山くんだった



ラッキーすぎる偶然。




だって神山くんは、

私が密かに片想いしている人だから。





「(名字)さんの私服姿初めて見たかもしれへん！」


緊張でガッチガチに固まる私とは対照的に
こんな私にも気さくに話しかけてくれる神山くん



「そんな、見せるほどのことでもないから…」

「いやいやめっちゃ似合ってるやん！
すごい大人な感じでオシャレやし」


「いやいやいや…神山くんこそ。普段そういう服着るんだね？」


私が手で神山くんの服を示すと
腕を控えめに広げて見えやすいようにする神山くんは

黒いブルゾンにマフラーという
男性雑誌に載っていそうなお洒落な装い

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