カフェホリック男子 [桃]

場外乱闘 ページ10

どうしよう、どうしたらバラされない？

最後のチャンスに賭ける



「じゃあ私も言っちゃいますよ？」

「んー？」



「実は全然チャラくないって」




小瀧望の表情に明らかに動揺が走る

理由は分からないけど、いけるかも。



「実はチャラくなければクズでもナルシストでもないって」

「ち、ちゃうし」


「甘い物とカフェラテが好きで
もちろんカフェも路地裏の喫茶店に1人で来るほど好き」

「ちゃうって！」



「違うんですか？」


「ちが…うっ…」



「…きちんと予習するほどの真面目さ」

「だぁーっもうええ！」


とうとう我慢出来なくなったのか
今度は私の口を塞ぎにかかる小瀧望



「んー！」

「これ以上言わへんな！？」



言わない、と大きく首を振り

手が離れた瞬間大きく息を吸うとまた手が伸びて来て避ける



「ちょ、お前はぁ！？アホなん！？」

「さっきの仕返しですけど？」



「…守らへんかったら、分かっとるよな？」


「あんたも、ね？」



摑みかかる勢いで睨み合い、小声で脅迫し合う

お互い満足が行ったらようやく離れて席へ戻った
と言っても前後の席だけど。




「お前今の何や場外乱闘か？笑」



隣からしげが茶化すフリをして探りを入れて来るのに
いつものようにムッとしていると

今日は珍しく私以外の人も反応した



「はぁ！？んなんちゃうし、はぁ！？」

「おい落ち着け小瀧、俺おちょくっただけやで？笑」



「は…別に、知っとったし。
この(名字)Aちゃんと仲良くお喋りしとっただけやで、

なぁAちゃーん？またお喋りしよなぁー？」


「そうねぇ小瀧くん、こんなに楽しかったんだものねー？」



お互い笑顔で対応するけど目は全く笑っていない

しげは唇を尖らせ私たちを見比べるだけだった






「いらっしゃいAちゃん
あ、そういや昨日ピン持って帰ったん？ここにないけど」

「持って！帰りましたけど！？」


中間さんからのタイムリーな指摘に腹を立てながら
着替えに向かう



いざバイトが始まってもむしゃくしゃするばかり



でもこれでバラされる心配はもうないよね？

向こうは何をそんなに怖がってるか分かんないけど。



ちょうどそんな時ドアが開き
チリーンというベルの音と共に入ってきたのは




「いらっしゃ…は？」





小瀧望だった





何で？


今日の事件があって
それこそ金輪際関わらないくらいの勢いかと思ったのに

何でもう1回来た訳？



案の定今日の小瀧望は
クズチャラナルシストモードの顔で

むすっと突っ立ちこっちを見ている

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