カフェホリック男子 [桃]

給水機とモヤモヤ ページ37

「お前目ぇサイコパスやんけ笑笑」

「頭パンクしそう…」



「ほんま、俺と3年連続クラス一緒なの感謝せぇよ？」


近づいてきて1つ1つゆっくりフリを見せてくれるしげ



「そーそー。んで今やった動きを
すったーたーたたーたたークンクンでやれば」

「ちょっとストップ、何？」


「神ちゃんどーやらここ音！？ってとこに
動きつけるのが好きみたいやわ笑」

「えーっと待って、まずこれでしょ？で…」


「あー手がちゃう」

「え？ここ？こう？」



「こっち。…ここ！で、こぉ行ってこぉ行って…」


私の背中側に回り固まっている私の手を掴んで
正しい位置に動かしてくれるしげ



「最後ここ。分かった？」

「何か今フォークダンスみたい笑」


「おぉ…ってアホかチビ、集中せぇ！」

「チビじゃない！」







「はいお疲れー今日はここまで！」


神山くんの言葉でようやく練習が終わる



炎天下でやっていたのもあって喉が渇き
学校の裏にある給水機を水を飲もうとすると先客がいた



「お、(名字)さんやんお疲れー」

「藤井くんこそお疲れ、ダンスすごい上手だね！」


「あー、へへ、結構コソ練してきてん笑」



口元の水を拭いながら給水機から離れたけど
次私が飲み終わるまで待っている藤井くん



「そーいやさ、ありがと。前」

「ん？」


「のぞむのこと」

「望…あぁ」



私が2度目のお節介を焼いた日のことか。



「正直、俺が想像してた以上に
はっきり色々ゆーてたからびっくりした笑」

「もう忘れて恥ずかしいから笑」


へへへ、と楽しそうに笑ってから
校庭の反対側にいる小瀧望に目をやる藤井くん




「望さ、昔色々あったのもあってやっぱみんなの前では
ほんまの自分、ちょっと隠してんねんか？

でも(名字)さんの前では、色々さらけ出してる気がするかな」



「昔、色々って？」




「それは(名字)さんが望に聞かな笑」


そろそろ戻ろか、と促され
2人でみんなの元へ戻る




あの小瀧望に、過去何があったんだろう。


小さなモヤモヤが心の隅っこで根を下ろした






「ってことで自分らみんな寄り道決定やから！」


3人の元へ戻ると小瀧望がそう高らかに宣言していた



「俺はええよー空いてるし」

「俺も！のんちゃんバースデーボーイやし笑」



「あー俺部活やからパース、悪いな小瀧」


鞄を肩に引っ掛け
お前は、と言うようにこっちを見るしげ



「私…残ろっかな。暇だし」


ケーキ渡さないといけないし。



「ほぉ…ほぉか。じゃあまた」


しげは白々とした顔で帰って行った

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