カフェホリック男子 [桃]

得意科目 ページ28

「今のAちゃん、甘いコーヒーが
必要そうな顔しとるから笑」

「いただきます！」


いつもと同じカフェモカも
中間さんに淹れてもらうと全然違う



「お前好きやな、それ」

「あれ今日いたんだっけ小瀧望」


「眩しすぎて見えへんかった？」

「あんたも好きだよね、カフェラテ」


「いや無視笑 最終的にこれに落ち着くねん」

「へぇ…」



「何が1番嫌なん？テスト」

「数学に決まってるじゃん！本当に赤点取りそう」


「逆に得意科目何なん」

「古文」


「あぁー微妙なライン」

「あんたは？」


「ダントツ英語」

「あー英語微妙」



「じゃあ古文教えろ。英語教える」


お互いの得意科目ならまぁいい話だよね？
私は小瀧望の提案を呑むことにした



「数学なぁー」

「数学は先生すぐ用意できるよ」


「しげ？」

「そう！頼んどくから今日は英語と古文」



「ん。こっち」


隣の席に置いていた鞄をどかし
そこをバンッと1回だけ叩く小瀧望

座る間に教科書やノートを出している



「あぁーはいはい源氏物語ね」

「要はイケメンクズ男やんな？」


「あんたそっくり」

「絶世の美少年て？やーだー照れるー」



ということでしばらくの間教えてみたけど
普段勉強しているからか飲み込みが意外と早い



「とりあえずこんな感じ」

「疲れたー！よし、帰ろ」



「ちょっと！」


筆箱に伸ばした小瀧望の手を咄嗟に掴むと
少し間を空けてからククク、と笑われる



「って言う訳ないやん笑」

「びっくりしたぁ…」


「そない俺に教えて欲しかったんや？」

「あんただけに得させる訳にはいかないからね」



はいはい、と英語の教材を出し始める小瀧望


意外と手が男らしかったのが癪に触るし

ちょっとでも小瀧望ごときに
余裕のなさを見せちゃったのはもっと悔しい。



「どこ？」

「これ」


「こんなん読むしかないやん笑」

「読めないから聞いてるんじゃん！」



「じゃあとりま1回音読するからよぉ聞いとけ」


咳払いをして読み始めた小瀧望は

予想の5倍くらい発音がいいし
10倍くらい分かりやすく解説してくれた



「分かった？」

「スッキリ！」



「じゃあ終わりやな」


そう言った頃は外は暗くなりかけていた



「ほんま中間さん心広いな笑」

「ね、私ならキレる笑」


そんな普通の会話をしているともう私の家の前



「家近いの？」

「まぁ、普通に。じゃ」


軽く頭を下げて今来た道を戻る小瀧望は
嘘が下手くそらしい


あんなにキョロキョロしてたら
流石の私でも分かるよ、ばーか。

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