カフェホリック男子 [桃]

頑張りと気の迷い ページ33

「…俺は、英語が好きやから
もっと出来るようになりたくて勉強してる。

他の科目も赤点取りたくないから、
お前らがおらんとこでこっそりやってる。

ダンスやって興味あるし
文化祭やってちゃんと成功させたい。


ちゃんと頑張りたいねん、俺」



クラスはまだ静かなままで
小瀧望のお友達たちは黙り込んで俯いている



「よーし終礼やんで！
…あれ？何でみんなそない静かなん？」



桐山先生が戻ってくると
お友達たちは自分の席へ戻って行き

少しずつ普段通り騒がしくなる教室





目の前の背中は、まだ丸まったまま。





それは終礼が終わっても変わらないままで
帰ろうと荷物をまとめていると



「小瀧」


さっきのお友達たちが机の側へ寄って来た




「…ごめん、言い過ぎたわ」

「ふざけすぎた。ごめんな」

「何か…恥ずかしかったんだよ。頑張る、とか。
もし失敗したら嫌だしダサいし」



「でも…だからって小瀧に我慢させる
必要はないよな。本当にごめん」


全員で小瀧望に頭を下げると




「もっと、他にも謝らなあかんやつらおるよな？」


顔を上げてこっちを見る小瀧望




「(名字)も、重岡もごめん」

「確かに(名字)の言う通りだよな」

「重岡いっつも何も怖がらないで突っ込んでくだろ？
何か…すげぇなって、正直思ってた」




「いいよ、私は。
あ、あとしげは本当に何も考えてないだけだよ」

「おんおん…っておい！せっかく褒めてもらえたのに！」




「で…小瀧は、許してくれる？」




「…誕生日。期待してんで」



強張っていた表情を緩めニッと笑う小瀧望




「そうだお前7月30じゃん！」

「うわやっべー意外と時間ねぇし！」




「なーにもらえるかなー？笑」



ハハハ、と全員で笑って

お友達たちは神山くんと藤井くんにも
謝りに隣教室へ消えて行った




きっと悪い人達ではないんだろうな。

これで何かが変わるといいけど…




そんなことを考えていると
目の前の席の小瀧望が振り返った

さっきよりも断然清々しい顔をしている



「スッキリ？」




「おん、スッキリ。

…ありがと、(名字)さん」




目を細めニコッと笑う小瀧望を
一瞬だけでも"可愛い"なんて思ったのは

気の迷い、なはず…





「なのになぁ…」





「ん？何や、赤点か？」

「違います！大丈夫でした！」



お友達と遊びに行った小瀧望が
珍しくれいんぼうに来ず

ちょうど悩む時間が出来てしまい唸っていると
中間さんに心配される




「じゃああれやろ。のんちゃんの誕生日」


「えっ中間さん何で！？」

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