恋愛成就エージェンシー [緑]

5人で飲み会 ページ40

「ほな！えー…ァアー何も浮かばへんわ！乾杯！」


重岡先輩の音頭で5人でジョッキをぶつける



結局神山さんは何を覚えてなくて
私だけモヤモヤしたままずるずると1週間は終わり

今こうやって狭い大衆居酒屋で5人で集っている



「(名字)さん枝豆好きー？」

「あ、はい！」


藤井先輩に満面の笑みで勧められたら
特別好きじゃなくても食べない訳がない



ちょうどそこでサラダが来てミミがトングを持った



「うわっ出た取り分け系女子！」

「え、しげ相手にポイント稼ぐん？」


急に囃し立て始める重岡先輩に心配そうな小瀧



「美人はサラダ取り分けちゃいけませんか？」


そんな2人に動揺することもなく
そう言ってのけちゃうミミは流石だと思う。



「あ」

「ん？」


「あんたの分トマト入れちゃったけど…」



そういえば食べたような…


何も思わなかったけど
義務として食べ続けてるから体が勝手に動いたらしい

習慣って怖っ。





そんなこんなでお酒はどんどん進むけど


何せ重岡先輩と小瀧がうるさすぎて

藤井先輩にアピールするチャンスどころか
声を聞くチャンスもほぼゼロ



ミミは奥の席だから助け求められないし
どうすればいいの…

途方に暮れ店内をぼんやり見回すと



「…ん？」



一瞬だけ見覚えある栗色の髪が見えた気がした

流石に期待しすぎ…だよね



「あっ！」


首を傾げていると珍しくミミが大声を出した



「え？今日だっけ？」

「どうしたのミミ？」



「宅急便の受け取りを今夜に指定してたみたいで。
明日だと思ったのに…とにかく今日は帰る。ごめんなさい」




「…ほな俺も帰ろかなぁー」


そわそわし始める小瀧



「み…なみさんの帰り心配やし

俺もどっちみち今夜業者来んねん、昨日なぜか
急に水道管破裂して俺んとこだけ水回り使えんくなって」



バイバイ、と言う暇もなく慌ただしく帰って行った2人



これ…そろそろ勘違いとか言ってられない

あの人の仕業でしかないでしょ。


じゃあこの人は…？



「ん？」

「あ、いえ」


思わず重岡先輩の顔を穴が開くほど見つめていると



「俺トイレ行ってくるー」


席を外したのは藤井先輩




え、重岡先輩と2人きり？相手違くない？



「あのぉー(名字)って、会社で…す、好きな奴とかおるん？」

「え、っと…」


返しに悩んでいると




「お、しげやん」


声をかけて来たのは



「なーんや淳太かぁー」


「悪かったな」




人は本当に驚くと声が出なくなるらしい


なぜなら

私服姿の中間さんを見た私がそうだから

小さな失恋と終電→←起爆剤とウーロンハイ

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