恋愛成就エージェンシー [緑]

お別れ会とミミの話 ページ38

「うおっ神ちゃんの唐揚げ！」


待ちに待った週末
ドカドカ上がり込んで来る濱ちゃんに対し



「初めまして、南ミミです。これつまらない物ですが…」


きっちり神山さんに挨拶するミミ
家主私ね？



「神山と申します。どうぞごゆっくり…ちょ、濱ちゃん！」


ドタバタキッチンに戻る
いつもと違い和やかな表情の神山さん



「いい人そうじゃない」

「まあね…」






「え、濱ちゃん飲むん？」


私とミミが4本ビールを出すと
缶を開けた濱ちゃんに驚く神山さん



「お別れ会やし？神ちゃんも飲も！」

「ほな1本だけ…」


ってことで4人で乾杯




「にしてもめでたいなぁミミ！」


「そうだおめでとう！」

「おめでとうございます」



黙り込むミミ



「のんすけ男前でええ子やし安心やわー！」

「えっ濱ちゃん小瀧のこと知ってるの？何で？」



「おん友達！まぁ色々あってん。な？」

「そうね」


「…ミミ？」

「拷問のつもり？…はぁ。分かったわよ」







それはつい最近

ミミと濱ちゃんで買い物に行った帰り



『南さん？』

『小瀧、くん…』



偶然小瀧に遭遇したらしい



『あーこれが噂の！』


そんな中でも相変わらずの濱ちゃん



『どちら様で…』

『あ、どーも！ハマダですー』


『初めまして小瀧望です』

『ほなのんすけでええか！よろしく！』



『…南さんの彼氏？』

『違う！濱ちゃんは、その』



『ミミと昔バイト一緒やって！友達っす！』



最初は小瀧も疑ってたみたいだけど
話すうちにすっかり濱ちゃんファンになったらしく

連絡先まで交換したらしい






「来週2人で釣り行くねん！」


ニコニコ笑う濱ちゃん



「それで濱ちゃんの話で盛り上がったりして
少しずつ小瀧くんと近くなって。そしたらあの日…」






残業が決まってから誰もいないオフィスで濱ちゃんに連絡


『そう、昨日の煮物食べていいから…
温めるかなんて自由でしょレンジ使ってよ。
うん。戸締りだけちゃんとして。じゃあね』



電話を切ると



『大変やな』

『小瀧くん！？』


『あいつの尻拭いやろ？南さんに任せて帰るとかアレやん』

『ありがとう…』



なぜか残っていた小瀧が手伝ってくれたらしい



『…彼氏？』

『ううん濱ちゃん』


『ほんまに…仲ええんやな』



そこからしばらく沈黙が続いてから



『…俺のことあんま好きやなかったりする？』


『え？何で？』



『濱ちゃんとかAにはガンガン言うやん？
流星としげにもサラッとしとるし

俺だけ…距離遠い、言うか』



『…そう？』

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