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話がある ページ27

「照史くん」

「ん?」





「…話が、あるんだけど」





何も言わずに振り返って私の方を見る照史くん








「ふぅ…あの。実はずっと」









「俺な?今月引っ越すねん。3月」









「…え?」









「就職先が東京の都心に決まってん。

こっからやと遠いし向こうで1人暮らししようって。


このプレゼント、淳太くんと濱ちゃんに今までおおきにのやつ」






「そう…なんだ、寂しくなるね」








いなくなっちゃうならなおさら伝えておかなきゃ。


私はもう1度口を開いた







「照史くん、あの」




「Aちゃんにはあの子おるやろ?

大丈夫、すぐ慣れるで」








「…そっか」









「最後にAちゃんの笑顔見して?俺好きやねん」







こういう"好き"はすぐにもらえるのに

私が本当に欲しい"好き"は絶対もらえない



泣きたい気持ちを堪えて笑顔を作る







「ん、これこれ」




照史くんも優しく笑って私の頭を2回叩いた









「私も…好きだよ」







「ほな俺も笑顔でおらんとなぁ?」









もうそうやって取ってもらっても構わない。









「私、ちょっとお散歩してから帰るね」


「そか。ほな先帰るな?」



「うん。バイバイ」







笑顔で手を振ると


照史くんは最後にこんな言葉を置いていなくなった









「…ごめんな?」









照史くん。




それは何に対しての『ごめん』ですか?





引っ越すって言うのギリギリになってごめん?


私からの告白を受け取れなくてごめん?


それとも私の気持ちに応えられなくてごめん?






どれにしろもう知ることは出来ない






私は笑顔を貼り付けたままぼーっと彼の後ろ姿を見送った









「…A?」








耳馴染みのある声に振り返るとやっぱり。

そこには部活帰りの神ちゃんがいた



そういえばこの1軒家、神ちゃんの家だったっけ。







「…見た?」





「…ごめん」







「いいのいいの。

…ふふっ見られちゃったかー恥ずかしいなー笑」






暗い気持ちを吹き飛ばそうとふふふ、と笑った瞬間

気が緩んで涙がぽろぽろとこぼれ落ちた





神ちゃんを心配させないように


照史くんが可愛い、と褒めてくれた
オレンジ色のトップスの袖で必死で拭う

明日からは→←帰り道



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みき(プロフ) - これからも、色々な素敵な作品を期待してます。 (2018年6月2日 19時) (レス) id: b4e2f9f02b (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - みきさん» 優しいお言葉ありがとうございます。色々な作品の予定もあるのでお時間頂いてしまうかもしれませんが、最低でも小話1つは落とせるように頑張らせていただきますね! (2018年6月2日 13時) (レス) id: 2940520ede (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - そんな、お気になさらないでください。この作品にこだわらず、他のも楽しませて頂きます。いつでも構わないので、出来たらよろしくお願いいたします。 (2018年6月2日 6時) (レス) id: b4e2f9f02b (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - みきさん» 少しお時間頂いて考えさせていただいてもいいですか?小話は後先考えず出せるのですが、短編集や長編となると心配性なのでそれなりの覚悟が必要で、今私に今作以上の物を書けるか不安で...アイデアを出してみて、吟味した上でまたご連絡させていただいてもいいですか? (2018年6月1日 15時) (レス) id: 2940520ede (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 続編として、新作で初めて頂くことは出来ないのでしょうか?出来れば、もっとこのストーリーを楽しみたいです。 (2018年6月1日 6時) (レス) id: b4e2f9f02b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てでぃー | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年4月12日 0時

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