オコサマじゃダメですか [橙]

花火大会 ページ11

「おーいAー！」

「はーやーくー！のんちゃん腹減ってんけど！」



「ごめんごめん！」




待ち合わせ場所の花火大会が行われる公園には

すでにお洒落な私服を着こなしうちわでパタパタ扇ぐ望と
毎年おなじみの浴衣姿の神ちゃんがいた




「おーすごい！やっぱ女子には浴衣が似合うなぁー」

「ふふっありがと望」




一方神ちゃんは全然私と目を合わせてくれない



「…神ちゃん？どうしたの？」

「へ！？あぁ…浴衣、変えたんや」



「あーそうそう！あれ小さくなっちゃったからさ、
淳太くんと新しいの買いに行ったの！…変かな？」






『もう高校生やろ？こういう大人っぽいのとかええんちゃう？』



淳太くんに勧められて
最近まで白地に赤い金魚が描かれていた浴衣を

紺地に紫色のお花が散りばめられた浴衣に買い替えた



ついでに下駄も買い替えて、髪もアップに

結構大胆に変えすぎたかもな…






「いや！…似合ってんで。可愛い、と思う」


「本当？やった！淳太くんにも報告しなきゃ！」




「ほんま兄ちゃん子やな笑」

「望だってお姉ちゃん子なくせに」


「俺は姉ちゃん子ちゃう、姉ちゃんが弟っ子なんや」

「へー？最近抱きつかれなくて寂しいとか言ってたのは
どこの誰だっけー？」


「それは！」

「その情報クラスの女の子に教えたらもっとモテちゃうね」


「うわー！それは困るなぁー！」

「満更でもない顔しないで笑」




「ほら！早よ行かんと混むで！」



神ちゃんの一言でようやく歩き始めた






ゆったり歩く184cmの望に
それなりに普通のスピードでも大丈夫な神ちゃん


一方私は下駄ということもあってちょこちょこしか歩けなくて
追いつくだけでもひと苦労




「大丈夫？A」


「うん。それより神ちゃん迷子にならないでね？笑」

「誰がチビやAよりは背ぇ高いわ！笑」




「すっげーこんなにたくさん店あるんや！」



目をキラキラ輝かせる望





私も毎年来ているとはいえ
毎年たくさんの屋台が出ていて目移りする


焼きそば、たこ焼き、わたあめ、チョコバナナ

金魚すくい、ヨーヨー、千本引き…






「うわ、射的とか懐かし！」


射的の方へと駆け寄っていく望




「俺あの怪獣のフィギュア取ったろ！笑」


意気揚々とおじさんにお金を渡して遊び始めた

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