ベッドタイムストーリー [JW] 短編集

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「えっと…まず172番」

「あー図形なぁ。えーっと…ちょっと待ってな、今ノート開くわ」



ガサガサと紙をめくる音がする中
私も自分のノートを開いて準備



「よし！そしたらまずーえー点Bん所の角分かる？」

「うん」


「んでそっから線をーえー…何て言ったらええんやろ…」

「ごめんね、いいよゆっくりで」


「いやそゆことちゃうくてさぁ、もう口で説明でけへんねん。
ビデオ通話とかに変えられへん？」

「え、でも私お風呂入っちゃった」


「俺も入ったで？」

「そういうことじゃなくてさ」



「あーメイクとかパジャマとかそゆこと？
何も気にせぇへんって！Aはいつでも可愛いんやから」


「そういうのいらないから…！」




「相変わらず照れ屋さんやなぁー笑」


ふふふ、と可笑しそうに笑う神ちゃん



「でもビデオにせんと数学一生分からへんで。ええの？」



「ビデオに変えます…」

「ふふっはーい笑」




時刻はもう1時過ぎ

とりあえず画面に映りそうな所だけ大急ぎで片付けて
髪も手櫛で整えてからビデオ通話に変えた



「お、映った映った」


画面に映る神ちゃんはすっかり部屋着
首にタオルを巻いてたまに髪を拭きながらニコッと手を振ってくれた



「神ちゃんのメガネ姿初めて見た」


「あー俺普段前の席にしてもらっとるからなぁー」

「そうなんだ」


「Aそれパジャマモコモコのやつ？」

「そうそう」


「似合うてる。へぇー触り心地良さそやなぁ」

「うん、ふわふわ」



「…よし。数学数学！」


画面からは見えない所から紙と鉛筆を出す神ちゃん



「ありゃ反転しとるなぁ」

「あっ確かに」


「まぁええか！えっとな、ここ見える？この角度」

「うん」


「んでー」




そこから神山先生の数学講座が始まる

1つ1つ丁寧に教えてもらっている分
1問に時間がかかっちゃうのが申し訳ない




「そしたらー…何？」

「ん？」



「あっちょっとごめん」


どうやら部屋のドアを開けて入ってきた誰かに
視線を向けている神ちゃん




「何？寝られへんの？水飲みに、おん。
そやな、暗いな？おばけ…あーおんおん。
今おにいお友達と電話中やからさ、ちょっと待てる？そそ、ええ子ええ子」



私と喋っていた時とは少し違う甘やかすような声で
あやしながらクシャッと笑ってその子の頭をポンポンっと叩いた




「ごめんな？A。

今妹が入って来てんけどさ、寝られへんらしくて。
一瞬席外して寝かしに行ってもええ？」

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