ベッドタイムストーリー [JW] 短編集

〜赤提灯の恋心〜 ページ12

「ん、おーきに。ほらAちゃんも皿受け取って！」


いたって平常な先輩に急かされ
私も机の上を整理しお皿を乗せる手伝いをした




私はこんなにも

照史先輩にドキドキさせられてるのにな。








照史先輩との出会いは入社式


私が配属された部署の上司として会社を案内してくれたのが先輩だった



『初めましてー桐山照史です！
俺別に大した人間ちゃうからさ、緊張せんとラフに喋ろや！

照史でええから、な？』



列の1番後ろでコソコソしていた私にも
フレンドリーに接してくれた照史先輩を好きになるのに時間はかからなかった






期待していた指導係は残念ながら先輩ではなかったけど



『うわぁ自分またパソコン問題かぁ！笑』

『難しくて…』



『ええよ、何回でも教えたる』


パソコン慣れしていない私に熱く指導してくださったりと
照史先輩のお友達なだけあってとても良い先輩だし




その彼が名コンビとして社内でも有名な
彼女さんと外せない会議やプレゼンでいなかったり

私よりは先輩、彼よりは後輩の方とビッグボイスで言い争っていて
助けを求められなそうな時は




『大丈夫？笑』

『あっあき…』


『しーっ仕事中は桐山先輩』

『すいません…』




『そない落ち込むなやぁ笑 で？どこ困ってるん？』


照史先輩がいち早く私のことを助けてくれた




『あいつもほんまちゃんと後輩の面倒見たれやって感じやんなぁ？
彼女のことばっか見とるんやから笑 注意しとくわ、ごめんな？』





私のこと見てくれてるのかなぁなんて毎回自惚れちゃって
何か進展しないかな、なんて期待するけど




お昼はいつも指導係の先輩とその彼女さん
ビッグボイス先輩、照史先輩の同期の先輩に加え他部署の先輩方3人の

8人で1つのテーブルに座って食べているから私が入る隙はない




バレンタインには誰にも、照史先輩にさえも内緒で
他の人とは違うチョコを渡したけど


『(名字)さんもほら、1個取り！』


もちろん気づかれる訳もなくクッキーの詰め合わせを持って来た先輩に
みんなと同じお返しをもらったし…




そうこうしているうちにもう私も新入社員ではなくなっていて

照史先輩と組ませてもらったプレゼンが終わった打ち上げで
こうして今2人で飲ませてもらっている




つまり今日がチャンス！








…なはずだったのにな、




もっと早くこの機会があったら。








もっと最初の方に私がアプローチしておけば

今こんなに苦しまなくて済んだのかもしれない






「…今日大丈夫なんですか？奥さん」

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