青春向かい風 [紫]

水面下 ページ16

-あなたside-


「おい」

「んー？」


「さっきから隣でニヤニヤすんのやめろや」

「えぇーしてないよぉー」


小瀧くんのメッセージの返事を考えてただけ！



「何やねんその間延びした喋り方は」

「んー」


「きしょいわ」

「へー」


「聞いとんのか」

「別に…あっ！」


「どれどれ」

「返して！」



ヒュッと抜き取られたスマホ
取り返そうと思っても手が届かなくてピョンピョン跳ねる

淳太のくせに私より背高くて手脚長いの癪なんですけど！


しょうがないからお腹にグーパンチ



「痛っ！ふっつーに痛いわ手加減せえ」

「じゃあ返して！」


「まだ読み終わってへ…あだっ力強めんなや！」

「淳太って意外と幼児体型だね」


「six pack coming soon馬鹿にしたら痛い目見んで」

「また英語使っちゃって。腹筋割りまーすじゃだめなの？」


「意外と意味分かってるやん」

「あのねぇバカにしすぎだっつーの！」



諦めて席に座ると笑い声と共にスマホが返って来た


「早速喋ってるんや小瀧と」



「うふふふまあねー」

「笑い方怖っ」


「まあ学校とか濱田くんの話ばっかだけど」

「濱ちゃん？」


「そうそう！小瀧くん、濱田くんのことめっちゃ好きっぽくて
色んなアホエピソードが送られて来るの笑 はぁー可愛い」

「お、とうとう濱ちゃんの可愛さに気づいたん？」


「違う違う！濱田くん好きな小瀧くんが可愛い！」

「何やそれ」


そんな会話をしてたら終礼が終わっていた



「あかん急がな」

「生徒会？頑張れー」


淳太が教室からいなくなると今度は照史が近づいて来る



「よっ」

「あっ照史一緒に帰る？」


「ごめん俺今日バイトやねーんまた今度な！」

「まかない！」


「おぉしっかり写メ送るわ笑」


照史がバタバタ出て行くと



「おっし！ばいばーい(名字)さん！」

「またね濱田くん」


今度はぶんぶん手を振って来た濱田くんに手を振り返す



ようやく帰ろうとすると


「A先輩！」

「神山くん？」


「よかったまだおったぁー」


ふわっと笑う神山くんに教室が色めき立つ
理由がよく分からないのか首を傾げ照れ笑いする神山くん

罪な男…



「あっ濱田くんならさっきどっか行っちゃったけど」

「A先輩探しとって！」


「私？」

「はい！シナモンロール焼いたんで先輩の感想聞きたくて…」


「えっ食べる！」

「ほな俺の教室置いてあるんで来てください！」




神山くんのシナモンロールをむしゃむしゃ食べている頃は

まだ水面下で行われている何かに気づいていなかった

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