なないろメロディー [JW] 短編集

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甘い甘いキャラメルマキアートを前に思わず浮かんだ笑顔。


「先輩好きですよね？」


頰杖をついた彼が長い睫毛を軽く伏せて言うもんだから一瞬詰まった返事。



「いつも飲んでますもん、それ」

不思議そうに小首を傾げる姿はやっぱり絵になる。


周りの子がさっきから盗み見てるのもわかるほど綺麗。



「あ、うん

コーヒー苦手で」


正直に打ち明けたことに

「ふは」と笑って「可愛い」だなんて呟く彼のせいで赤くなった頰。



「先輩？」


「な、んでもない」


「ん、そですか

なんか顔赤ないですか？」


貴方のせいですなんて言えずに口づけたマグカップ。






同じタイミングでカフェラテを飲み始める彼を見てつい最近覚えたての単語を頭に浮かべると



「知ってます？相手と同じことをして見せると好感持てるらしいですよ」


まるで私の心の中を見透かしたように口角を上げるから胸が高鳴った。



「俺、先輩に好かれたくてやってます」



狡すぎる甘い言葉と共に伸ばされた両手は私の手を包んで



「先輩、俺のこと好きですか？」


あの日から幾度となくされた質問を今日もされる。




「はい」



恥ずかしくて恐る恐る上げた顔の先には

どこか満足してなさそうな表情で少し戸惑うと真っ直ぐに見つめてくる彼が




「好き？」と繰り返される。



「あ、うん、だから」



「ちゃんと言わんとわからんよ」


握られた手に少し力を強められるから


「好き、です」


打ち明けてしまった想い。



「んー、そっか

俺も好き」



ぐいっと顔を近づけて花が開くみたいに笑う姿に息を飲んで思わず体を後ろに仰け反ってしまった。



それに寂しそうに歪められた顔。






「あ、えと、ごめんなさい」



すぐに謝るけど顔を軽く背けられてしまい
いきなり襲われる焦り





どうしよう。色々考えたら良く味わえないまま飲み干してしまった目の前のカップの中身。





沈黙は苦手でしょうがない。


だからと言って変なことを言って嫌われたくもなくて何かを話そうとして見上げた彼の横顔。




口から出たのは





「小瀧くんは、どの季節が好き？」


変な質問で

呆気にとられた様子の彼が私を見てるけど
この際だからあの日から囚われたこの想いをすっきりさせてみようかだなんて開き直り始めた頭の中。




「私は」「俺は秋が好きかな」



被せるように言った彼はまた頰杖をついていて



「先輩は？」

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