〜拗らせ愛〜 ページ16
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「約束してないよ」と呟くと
「ん」
ふらふらと目の前に姿を現したスーツ姿のいつもと変わらず綺麗な彼。
「バレたらまずいんじゃないの?」
「しー。言わんといて」
私の言葉を制すように口元に人差し指を当てて浮かべる困ったような表情。
「なあ、この前邪魔された続きしようや」
私の手を取りすぐに口角を上げ笑う彼はずるい人。
本当にずるい人だ。
「会わないって言ったじゃん」
「でも俺は言ってない」
「だって、流星くんは」
「しーって言ったやんな俺。何も聞かん約束」
自分の都合の良いことばかり押し付けて腕をぐいぐい引いていき
「どこ行きたい?」
優しく愛おしい顔で笑うから
今日もそれ以上は何も言えずに「流星くんの行きたいところ」なんて従ってしまう。
「ん?俺?俺の行きたい場所。
何それ随分可愛いこと言うね」
そんな私に気を良くしたように頭を撫でる彼は
「んー。あ、あそこ!水族館」と近場の場所を提案しては急かすように声を掛けてはしゃぐから
最後はどこに行くかわかっているのに、束の間の幸せを感じてしまう。
ダメなのに、こんなの。
「A、魚おるよ」
「流星くん、ここ水族館だよ」
水族館につくなり水槽を見て呟く彼にあげた笑い声。
「やっと笑ってくれた」
綺麗な目を細めて「なんか飲もうか」と着いたばかりなのに売店を探して買ってくれたカフェオレ。
私とは別のブラックコーヒーを飲む彼が「ほんまは苦いの苦手やろ」と意味深に笑い思い出した少し前のこと。
久しぶりに駅で会った彼が学生時代よりも随分とかっこよく見えて"私も同じもの"とつい見栄を張って無理に流し込んだそれ。
「嘘つき」
悪戯笑われて近づけられた顔。
少しだけ触れた唇に
「嘘つきは流星くんでしょ」と小さく言い返すとゆっくり視線を左手に向け、ポケットの中に入れ
「せやね、嘘つきは俺やね」
切なそうに私の頰を撫でて笑う。
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てでぃー(プロフ) - Yukoさん» ネタに走りがちな反動でたまに自分でも情緒が不安になるほど暗かったり切ない物を書くことがあります笑 うわぁ本当、えぇ...それ最高最大の褒め言葉じゃないですか.....今の所逃げる予定はないのでいつでも戻って来てください! (2018年6月25日 18時) (レス) id: 2940520ede (このIDを非表示/違反報告)
Yuko(プロフ) - てでぃーさん だって、本当に切なかったりきゅんきゅんしたり、ほろり(というか、涙ぼろぼろ)したり、感動なんですもの。他の方の作品も読みますが、やっぱり戻ってきちゃいます。 (2018年6月25日 17時) (レス) id: 326d509d03 (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - Yukoさん» Yukoさん...私泣いちゃいますよ....まず読み返してくださったのも嬉しいし、それに加えコメントまでくださるなんて!Yukoさんのご感想ほど素敵な作品になっているか分かりませんが本当に光栄です。これからもたまにはデトックス剤(?)を落とせるように頑張ります! (2018年6月25日 17時) (レス) id: 2940520ede (このIDを非表示/違反報告)
Yuko(プロフ) - あらためて「ほんまもんの幸せ」を読み返して・・ やっぱりてでぃーさんの作品 大好きです。 ストーリーは気持ちに訴えてくるものがあるし、言葉はきれいだし、WESTの皆さんの良さを光らせていて。てでぃーさんの作品を読むと気持ちのデトックスができます!! (2018年6月25日 15時) (レス) id: 326d509d03 (このIDを非表示/違反報告)
ねねけろ(プロフ) - あかさん» お返事ありがとうございます!そうだったのですね!!ますます好きになりました笑 更新頑張ってください!応援してます^^ (2018年1月24日 1時) (レス) id: 88a3919034 (このIDを非表示/違反報告)
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