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子安「うちの相方がすまん！」
「あの、だから本当に！もう大丈夫ですから！」
劇場に行くと、私を待ち構えていたらしい子安さんが足早に近付いて来た。もう何度目か分からない謝罪。よっぽど私がフーさんにお金を貸したことを気にしている様子。
そもそもなんでフーさんとのやり取りを知っているのか、というと本人がご丁寧にTwitterで呟いていたようで。私にお金を借りたことも全部馬鹿正直にツイートしていたそうな。……フーさん、世の中には黙ってた方がいいこともあるんですよ。
子安「後輩に金借りるなんて前代未聞すぎんねん。……いくら貸したん？代わりに俺が返しとくわ」
「いやいや！子安さんのお気持ちだけで十分なので！ちゃんとお財布にお金入ってますし」
子安「Aがそうは言ってもなぁ、」
「なんならフーさんに倍返ししてもらう予定ですよ」
子安「あ、そうなん？」
「はい」
にっこりと、先輩相手に平気で嘘を付いている自分が怖い。でも仕方ないのだ。今回だけは許してほしい。多分こうでもしないと子安さんは諦めてくれなかったと思うから。
阪本「それ嘘やろ」
「……え？」
阪本「倍返し、ってやつ」
去って行く子安さんを見送る私の背中に向けて聞こえた声。振り向けばソファーに腰掛ける阪本がスマホ片手にニヤリと笑っていた。どうやら一連の流れを見ていたらしい。
「な、なんで分かったん」
阪本「顔見たら分かる」
「……！」
阪本「相手が子安さんで良かったな。まんまと騙せてたやん」
勝手に人の話聞いてニヤニヤすんなよ、と言いたいが今の私の立場を考えると完全に劣勢。
そんな私が取る手段はただひとつ。
「お願いだから内緒にしといて。子安さんしつこくて仕方なかってん」
阪本「ええよ。なんとなく見てて分かったし」
「……珍しくあっさり、」
阪本「何？もっとごねた方が良かった？」
「いや全然！むしろ話早くて助かった！……ありがと」
慌てて駆け寄り懇願すれば、意外にもすんなり私のお願いを聞き入れてくれた阪本にちょっとだけ拍子抜けした。絶対面白がって、あーだこーだ言ってくると思ったのに。
近頃の阪本は、いつになく素直な気がする。
阪本「Aさ、」
「ん？」
阪本「お人好しも程々にしいや」
阪本「Aはちょっと、いや大分、人が良すぎて心配になる」
「そんなことで心配？……なんで？」
私の問いかけに、スマホ画面をタップしていた阪本の指がピタリと止まる。
そっと顔を覗き込むと、一瞬だけ目が合ったがすぐに逸らされてしまった。
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子安「うちの相方がすまん！」
「あの、だから本当に！もう大丈夫ですから！」
劇場に行くと、私を待ち構えていたらしい子安さんが足早に近付いて来た。もう何度目か分からない謝罪。よっぽど私がフーさんにお金を貸したことを気にしている様子。
そもそもなんでフーさんとのやり取りを知っているのか、というと本人がご丁寧にTwitterで呟いていたようで。私にお金を借りたことも全部馬鹿正直にツイートしていたそうな。……フーさん、世の中には黙ってた方がいいこともあるんですよ。
子安「後輩に金借りるなんて前代未聞すぎんねん。……いくら貸したん？代わりに俺が返しとくわ」
「いやいや！子安さんのお気持ちだけで十分なので！ちゃんとお財布にお金入ってますし」
子安「Aがそうは言ってもなぁ、」
「なんならフーさんに倍返ししてもらう予定ですよ」
子安「あ、そうなん？」
「はい」
にっこりと、先輩相手に平気で嘘を付いている自分が怖い。でも仕方ないのだ。今回だけは許してほしい。多分こうでもしないと子安さんは諦めてくれなかったと思うから。
阪本「それ嘘やろ」
「……え？」
阪本「倍返し、ってやつ」
去って行く子安さんを見送る私の背中に向けて聞こえた声。振り向けばソファーに腰掛ける阪本がスマホ片手にニヤリと笑っていた。どうやら一連の流れを見ていたらしい。
「な、なんで分かったん」
阪本「顔見たら分かる」
「……！」
阪本「相手が子安さんで良かったな。まんまと騙せてたやん」
勝手に人の話聞いてニヤニヤすんなよ、と言いたいが今の私の立場を考えると完全に劣勢。
そんな私が取る手段はただひとつ。
「お願いだから内緒にしといて。子安さんしつこくて仕方なかってん」
阪本「ええよ。なんとなく見てて分かったし」
「……珍しくあっさり、」
阪本「何？もっとごねた方が良かった？」
「いや全然！むしろ話早くて助かった！……ありがと」
慌てて駆け寄り懇願すれば、意外にもすんなり私のお願いを聞き入れてくれた阪本にちょっとだけ拍子抜けした。絶対面白がって、あーだこーだ言ってくると思ったのに。
近頃の阪本は、いつになく素直な気がする。
阪本「Aさ、」
「ん？」
阪本「お人好しも程々にしいや」
阪本「Aはちょっと、いや大分、人が良すぎて心配になる」
「そんなことで心配？……なんで？」
私の問いかけに、スマホ画面をタップしていた阪本の指がピタリと止まる。
そっと顔を覗き込むと、一瞬だけ目が合ったがすぐに逸らされてしまった。
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桃餅(プロフ) - Mさん» コメントありがとうございます！阪本さん推しのM様にこの作品が届いてとても嬉しいです><！これからも阪本さんには活躍していただく予定ですので、引き続き読んでいただけたらと思います◎今後ともよろしくお願い致します！ (3月24日 23時) (
レス) id: dee8621d9c (このIDを非表示/違反報告)
M - 最近読み始めました☺️マユリカの阪本さん推しなので、これからも楽しみにしてます🫰 (3月20日 10時) (レス) @page19 id: 12b8be48d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃餅 | 作成日時：2024年2月8日 21時
