知らないことばかりが答え ページ35
大きな猫に追いかけられている私は必死に逃げていた。足がほつれながらも懸命に走り、だけど結局躓いて。
――ああ、もうダメや、そう思った瞬間突如鳴り響くアラーム音。
その音によって、勢いよく目を開ける。そして気付いたのだ、さっきまで夢を見ていたのだと。
現実の世界でもしっかりとアラームが鳴っていて……いや、よくよく聞けばアラームじゃない、着信音だ。
「……もしもし、」
まだ意識がはっきりとしない状態で、誰からの電話なのか確認せずに出てしまった。いつもより力の抜けた声でだらしなく電話越しの相手に声をかけると、クスクスと笑う声が聞こえる。
「えらいふにゃけた声してんなあ、」
「えっと……堂前さん、ですか？」
堂前「うん」
相手が先輩だと分かり慌てて挨拶をすれば、いつもの柔らかな声で「おはよう、A」と返される。その声で再び夢の中に落ちてしまいそうだ。
堂前「急なんやけどさぁ」
「……はい、」
堂前「A、今日仕事何時から？」
「えーっと……確か夜の公演2ステだけやったと思います」
堂前「じゃあさ、半日俺にくれへん？」
「……え？」
堂前「デートしよ」
「……はい、？！」
――
「……なんて幸せな空間、」
堂前さんと待ち合わせをし、連れて来られた先は猫カフェだった。
膝の上で丸まる猫ちゃんを撫でながら、そのあまりの幸せぶりにぽつりと言葉を溢すと隣の堂前さんがふわふわと笑う。
堂前「ええ顔してるなぁ」
「そりゃあこんな顔になっちゃいますよ……だって可愛すぎますもん……」
堂前「そやなあ」
「……そういや大丈夫なんですか？」
堂前「ん？何が？」
「ハフちゃん。……他の猫ちゃんとあんまり楽しくしてると、浮気やーって怒られちゃいますよ？」
そう問いかけたタイミングで、堂前さんに抱かれる猫ちゃんが「にゃあ」と小さく鳴く。それはまるで私の質問に「そうだそうだ」と付け足しているようで。
くるんと顔を上げて堂前さんを見つめる猫ちゃん。……なんちゅー可愛さ。あざとすぎて声出そうになったやん。
猫ちゃんと私、両方の視線を浴びる堂前さんは、頬を掻きながら困ったように笑う。
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桃餅(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます！恐れ多すぎるお言葉、嬉しすぎて何度も読み返しました(;ω;)芸人さんのキャラは勿論、主人公のことにも触れていただき大変幸せです…！更新も遅く、完結までお時間がかかるかと思いますが、引き続きよろしくお願いします◎ (2023年2月11日 18時) (
レス) id: dee8621d9c (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - いつかくる完結の日までワクワクが止まりません！！ (2023年2月8日 23時) (レス) id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - リアルな描写と主人公の人間味のある性格…こんな素晴らしい作品があるんでしょうか…感動しています。遅ばせながら作品を全部読ませていただきました。主人公に甘々なDさんとメンヘラ気味なさかよー、さすけのキャラが特に好きです！次の更新を楽しみにしています！ (2023年2月8日 23時) (レス) id: 2fbfb927f5 (このIDを非表示/違反報告)
桃餅(プロフ) - 名無さん» コメントありがとうございます！Dさん好きすぎて私の妄想多めで好き放題書かせてもらってるのですが(汗)そう言っていただけてとても安心しました><これからもDさんには活躍していただくので、引き続き読んでいただけると幸せです◎よろしくお願いします！ (2023年1月9日 21時) (レス) id: dee8621d9c (このIDを非表示/違反報告)
名無 - Dさんのお話が大好きです!!!図々しいのは承知の上ですが、これからもたくさんDさんのお話を書いてくださると嬉しいです!!(^^) (2023年1月8日 0時) (レス) id: b30af06092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃餅 | 作成日時：2022年10月7日 0時
