One step Two step (ページ10)

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Story.10 ページ10

「Aちゃん…！」

走ってきたのか
少し息をきらしたジスくんが帰ってきた。

『ジスくん！研修お疲れ様。』

実は今日ずっと見たかった顔。

ようやく見れたらなんだか安心して来ちゃった。

今日大変だったなぁ…つらかったなぁ…

「Aちゃん…？何かあったの…？」

ジスくんの優しい声に
わんわんと声を上げて泣きだしてしまった。

こんなのジスくんびっくりするじゃん…

急に泣きだしたりして困るじゃん…

「…よしよし。」

号泣したがら立ち尽くす私を
そっと抱きしめてくれたジスくん

何も言わずにただ背中を
とんとんってしてくれて落ち着かせてくれる。

ジスくんってこんなに手大きいんだ…。

少し落ち着いてから今日あったこと、
仕事に自信をなくしてしまうことを話した。

「…僕さ、思うんだけど」

「Aちゃんすごく頑張りやさんだし、実際にすごく仕事が出来る人なんだと思う。」

「でも、悪いことまで全部自分で背負い込んで解決しようとしてない？」

「僕、本当に指導係がAちゃんで良かったって心から思ってるんだよ。」

「でも時より見せるつらそうな顔は、見ていられなくなる。今すぐ駆け寄りたくなるんだよ。」

……その通りだ。

ジスくんはそこまで私のことを見ていてくれた
のかと思うと、また涙が出そうになる。

『私…つらい時も苦しい時も誰にも言えなくて…。女だから弱いとかも思われたくなくて…。全部私がやらなきゃって…。』

ぽつりぽつりと絞り出す私の言葉にも
うんうんって言いながら聞いてくれる。