Story.29 ページ29
ジスは本当に私を
シンデレラにしてくれたみたいだった。
「どうぞ、お姫様」
ジスが助手席のドアを開けてくれて乗り込むと
"HAPPY BIRTHDAY"と書かれたカードが
置いてあった。
びっくりなのは、ここまでに出てきたカード
すべてがジスの手書き、手作りなところだ。
まごころが込められている気がして
その時点で既に泣きそうだった。
ジスの運転で来たのはお高そうなレストラン。
しかも私達の他には誰も居ないらしい。
…えっ、もしかして貸し切り…？
「緊張してる？(笑)」
『こんなところでお祝いしてもらったこと無いから…緊張するよ…』
こんな素敵なドレスを着て
お姫様って言われながら誕生日を過ごす人
自体そうそう居ないだろうと思った。
このレストランは雰囲気も良いし
何よりご飯は美味しくて最高だった。
『なんか夢みたい。こんな風に誕生日を過ごせると思ってなかった…』
「初めてAの誕生日を祝うからちゃんとやってあげたくて。ドレスもすごく似合ってるし、本当に綺麗だ。」
違う人ならからかわれていると思うのに…
ジスの真剣な眼差しを見れば
本気で言ってくれてるんだと伝わる。
ああもう涙もピークだよ…
目の前にいるジスを見るだけで
本当にわんわん泣きわめきたくなるくらい嬉しい。
「もう1つ連れて行きたい所があるんだ。」
"「それではお姫様、足元お気を付けください」"
私の手を引いてまたもやお姫様扱いを
してくれるジスに頬が緩む。
どこに行くんだろう？
車で走ること15分。
ジスに手を引かれて私の目に映り込んだのは
教会の前に無数に広がるキャンドルだった。
よ〜く見るとキャンドルで
"HAPPY BIRTHDAY"って形になっていて。
もう、どれだけ私の涙腺が緩み続けただろうか。
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作者名：mi | 作成日時：2019年10月23日 20時
