One step Two step (ページ25)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:28,598 hit

Story.25 ページ25

念願の恋人になったものの…

隣の席と言うのがかえって気まずいというか
常に心拍数が上がってしまって仕事にならない。

ちらっと横目に見れば真剣にデスクトップと
にらめっこするジスの横顔が見えるし、

またある時ちらっと見れば
チョコのおかしを食べるジスが居る。

しまいには

"「Aも食べる？糖分大事だよ。」"

とか言ってくる。

チョコなんか食べなくても、
ジスがいるこの空間が糖分で出来ているのに。

なんて見惚れていたら
みるみるうちに仕事が山積みになっていく。

溜め息をつきながらせっせと片付けるも、
終業には間に合わなかった。

その間も、ジスがちょこちょここっちを見て
気にしてくれているのも知っていた。

「まだ終わらなそう？」

終業時間から30分が過ぎた頃、
もう帰ったと思っていたジスが顔を覗かせる。

『ジス…、もう帰ったんだと思ってた』

「溜め息つきながら必死に仕事をする彼女置いて帰ったり出来ないよ。」

眉毛を八の字に下げながら
私の頭をぽんぽんと撫でる。

「はい、これ」

またしてもジスは

"「疲れてる時は糖分！」"

なんて糖分への絶大な信頼を置いているようで
甘いものをたくさん差し入れしてくれた。

『ありがと、これでがんばるね。』

それを言ったら帰るのかと思っていたら
そのままデスクに居続けるようだ。

『先に帰ってて良いよ？ジスだって今日疲れたでしょ？』

「Aは僕に居てほしくないの？」

違う…！

断じてそんなことは無い！違う違う！

『そうじゃなくて…！居てくれたら心強いけど…』

「じゃあ決まり。」

「1回区切りつけて充電しよ」

充電…？

「はい、ぎゅ〜。」

わたあめみたいなジスの匂いが
頭いっぱいになった。