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幸か不幸か。
この先の展開がわからない程子供でもない。
ゴクリ、生唾をのみ込む音がやけにリアルだ。
酔った時に溢れ落ちるのは本音か戯言か──。
よかったじゃねぇか、願ったり叶ったりで。
は?どこ見てそう言ってんだ?
ずっと自分のモノにしたかったんだろ?折角のご指名じゃん。
それは付き合えたらの話で・・・今じゃない。
素直になれよ、こんなチャンスそうそう無いぜ?
お前、耐えれんのか?誰かの代わりにされてんだぞ?
それくらいのリスク、リターン考えれば安いもんだろ。
これまで積み上げた信頼はどうなる?一瞬で崩れてしまう。
それ位どうってことない。今夜だけ、酒のせいにすればいい。
これからも仕事で顔を合わせるのにそんなこと・・・
据え膳食わぬは男の恥、今食わなくてどうする。
お前のAさんへの気持ちはそんなもんか?
本能と理性。打算と愛情。期待と羨望。
俺の中のジキルとハイドの言い合いが止まらない。
その間にもゆらりと揺れた瞳を伏せて、Aさんの顔がゆっくりと近付いてくる。
あぁ、どうする俺!
ヤバい、もう、ダメだ・・・
その距離に反射的に目をぎゅっと瞑ったんだと思う。
たぶん、時間すればほんの数秒。その間の記憶は曖昧だった。
『・・・えっ?』
次の瞬間、気がつくと急に左肩に重みを感じた。
目を開くと唇が重なる前に力尽きたのだろう、完全に体を俺に預けるAさんが目の前にいた。
『・・・・・・あっぶねぇ』
急に力が抜ける。
この安堵感はどこから来るものか、もう考えたくはなかった。
ゆっくりとAさんの身体をベッドへ。
そっと布団をかける。
結果的には勝負には勝った形だけど、樹が言ってた通り、迷った時点で負けていたんだとAさんの寝顔を見てそう思った。
少し考えてメモにペンを走らせる。
【Aさんの可愛い姿見れてよかったです】
敗者の弁。最後の悪あがき。
目が覚めたAさんに記憶が残っているかはわからない。
でも、こんなにも振り回されたんだから、これくらいの意地悪は許して欲しい。
ベッドサイドに置いたこれを見て、少しでも俺のことで頭がいっぱいになればいい。
・・・Aさんの馬鹿。
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月妃(プロフ) - yuuuuuukaさん» そう言って頂いて私の方がテンション上がってます!!!私の中で年下という設定を1番大切に書いているつもりなのでその感想、泣いて喜んでます!ももほく、これからもよろしくお願いします(^^)更新も頑張ります! (2021年1月18日 2時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
yuuuuuuka(プロフ) - とても大好きな作品で更新されてるたびにテンションが上がります!!北斗くんの年下男の子感も、ももちゃんも可愛すぎます^ ^最後まで楽しみにしてます。お忙しいと思いますが更新頑張って下さい。 (2021年1月17日 21時) (レス) id: 8fc0637993 (このIDを非表示/違反報告)
月妃(プロフ) - kaaaaaa0615さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!本日1話up予定です!これからもお付き合い頂けると幸いです(^^)北斗くん共々よろしくお願いいたします! (2021年1月17日 8時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
kaaaaaa0615(プロフ) - とても大好きな作品で、毎回楽しみながら読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2021年1月16日 23時) (レス) id: 34bbe03f6c (このIDを非表示/違反報告)
月妃(プロフ) - もふもふさん» ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!年上モモちゃんに振り回される優等生わんこの北斗くんをこれからもよろしくお願いします(^^)更新頑張ります! (2020年12月19日 3時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月妃 | 作成日時:2020年10月17日 19時