ANGEL・KISS / Hokuto.M 【3】

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『背中、乗って下さい。怪我でもしたら大変なんで』






少しムスっとしているAさんの前でしゃがみ込む。







「･･･まつむらくんも、かほご」





『そんなこと言ってないでAさん早く！この体勢、ちょっと恥ずかしいんですから』





「あはは！よいしょ、おじゃましまぁす」







俺の首にAさんの腕がゆっくり巻きついたのを確認して立ち上がる。






もしかしなくても背中に触れてる柔らかいものは･･･


いやいや！深く考えるな！無になれ！！








「あーぁ、せんぱいとしてのいげんが･･･」




『なぁに言ってんですか、しっかり掴まっててください』






どちらが年上かわからなくなるほど幼くなったAさんに思わずくすりと笑ってしまう。






エントランスを潜ってエレベーターに乗る。
と、ここで気が付く。･･･部屋番号知らねぇわ。


部屋まで送るなんて考えてもなかったから、宮田さんにも聞いてないし。







『Aさん、ボタン押せますか？』





「ん、はぁい、」





Aさんの指で6の数字が光った。
エレベーターが上昇していくのを見上げる。




よいしょっと。
じっとしている間にAさんを1度抱えなおす。
と同時にすんすん。なにか耳元で音がするんですけど。







「まつむらくん、いいにおいだねぇ」



『へ？』



「へへ、このにおい、すき」



『！』







･･･馬鹿、俺！
好きって俺のことじゃなくて、匂いのことだから！
ん？でも好きな匂いは俺の匂いであるから実質俺のことで･･･？

あぁ、訳分かんねぇ！！耳元で話されると余計に！！




深い意味はないだろうけど、Aさんの一挙手一投足に振り回されてるのはやっぱり俺が年下だからだろうか。





内心パニック状態の俺を放置して、言いたいことだけ言うと今度は眠気がやってきたらしいAさん。
せめて部屋に着くまで頑張ってもらわないと。





扉が開いてからふわふわした案内で部屋までなんとか辿り着く。
その部屋に記された数字。






618








こんな偶然あるだろうか。



ただの数字の羅列といってしまえばそれまでの話。
だけど俺の誕生日と同じその数列に、運命を感じられずにはいられなかった。





なんとか鍵を開けてもらってドアノブを引く。
1時間前には想像もしていなかった世界へ足を踏み入れた。

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