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Aさんを起こさないように左手でロックを解除したスマホ。インカメラでそっと様子を伺う。
・・・あぁ、やばい。本当に寝てる。
めちゃくちゃかわいい。
さすがにそのままシャッターを押すのは恐れ多くて、代わりに瞬きという名の記憶のシャッターなら何回も押した。
たぶん俺以上に色々と気を遣って疲れたんだろうなと思ったら、肩を貸すくらいなんともなかった。
もっとAさんに頼ってもらえるような存在になりたいと思いながら家路に近付く車窓を眺めていた。
この時間がずっと続けばいいのに──
.
『Aさん、Aさん。そろそろ着きます』
「・・・ん、」
降りる一駅前を通過した頃、優しくとんとん。
この時間の終わりを惜しみながらAさんの腕に触れる。
『Aさん?』
「・・・ぅん、・・・っん?あれ、ごめん、寝ちゃってた・・・」
『はは、大丈夫です。それと、これ。一回落ちちゃったんで、どこまで読み終わったかわかんなくなっちゃいましたけど』
「わ、ごめんね?本落として、松村くんの肩まで借りてぐっすり・・・先輩の面目ありません」
寝起きで少しほわんとしていて、少ししゅんとしたAさん。一気にかわいいAさんの供給が多すぎて処理に困ってるんですけど!
内心嬉しい悲鳴。
扉が開いて、ホームに降り立つ。
外の空気を1時間半ぶりに取り込む。
「んー、帰ってきましたね」
ぐぅっと背伸びをするAさん。
「ねぇ、松村くん?」
『はい』
「この後、予定ある?」
『いえ、特にないですけど・・・』
「じゃあさ、ちょっと飲みに行こうよ」
『・・・え!?』
「肩貸してくれたお礼!わたしの奢り」
『や、そんなお礼される程じゃ・・・』
「さ、行こ?」
『や、でも・・・』
「私が飲みたい気分なの!可愛い後輩の模範解答は?」
『・・・ありがとう、ございます?』
「うん、よく出来ました!ほら、行こ!」
笑って少し強引に掴まれた腕も、満更ではなかった。
やっぱり自惚れなんかじゃなくて、Aさんとの心の距離が以前よりも随分近付いている気がして。
俺の腕を掴んで少し先を行く後ろ姿に、やっぱり好きだという気持ちが溢れそうだった。
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月妃(プロフ) - yuuuuuukaさん» そう言って頂いて私の方がテンション上がってます!!!私の中で年下という設定を1番大切に書いているつもりなのでその感想、泣いて喜んでます!ももほく、これからもよろしくお願いします(^^)更新も頑張ります! (2021年1月18日 2時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
yuuuuuuka(プロフ) - とても大好きな作品で更新されてるたびにテンションが上がります!!北斗くんの年下男の子感も、ももちゃんも可愛すぎます^ ^最後まで楽しみにしてます。お忙しいと思いますが更新頑張って下さい。 (2021年1月17日 21時) (レス) id: 8fc0637993 (このIDを非表示/違反報告)
月妃(プロフ) - kaaaaaa0615さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!本日1話up予定です!これからもお付き合い頂けると幸いです(^^)北斗くん共々よろしくお願いいたします! (2021年1月17日 8時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
kaaaaaa0615(プロフ) - とても大好きな作品で、毎回楽しみながら読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2021年1月16日 23時) (レス) id: 34bbe03f6c (このIDを非表示/違反報告)
月妃(プロフ) - もふもふさん» ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!年上モモちゃんに振り回される優等生わんこの北斗くんをこれからもよろしくお願いします(^^)更新頑張ります! (2020年12月19日 3時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月妃 | 作成日時:2020年10月17日 19時