ANGEL・KISS / Hokuto.M

・ ページ22

樹に胸の内を話したことで自分の中で無意識に腹を括ったところがあったのか、その後の自分の行動は早かった。





まずは自己分析をやり直した。
金子さんに相談したら、細かなところまでやり詰めた方がいいと言われたので、自分の引き出しのなさに幻滅するくらいとことんやった。


･･･結果、自分の事が嫌いになりそうだ。





あとは企業分析。
第一志望はもちろん、同業他社や似たような企業、それと採用が公ではないけれど始まっている企業。エントリー可能な企業にはとりあえずエントリーして、いよいよ俺の就職活動が始まった。






エントリーシートや面接、筆記など出来るだけ場数を踏む。

全ては第一志望の内定のために。





後期授業が始まってからは、ほぼ毎日就職課に足を運び、金子さんにみっちり指導してもらっていた。お節介なところはあるけれど･･･というか桃瀬さんのことで毎回いじられるけれど、アドバイスは的確で納得できるものばかりだったから信頼できるな、と早々に思ったからだ。


就活で他人の世話にはならないと、変に突っぱねて考えていた数ヶ月前の自分をぶん殴ってやりたい。







1ヶ月も通うと、こっそりお茶とお菓子を出してくれるくらいには金子さんとは仲良くなった。




ちなみに、就職課に通っていると話したその日に連れってって！と言われてそのまま樹を連れて行くと、もうその日に金子さんと仲良くなっていた。なんならミチコちゃん、樹くんと名前で呼びあっていた。


俺には到底真似出来ない、恐るべしパリピ精神である。







･








株式会社SIX’Sのインターンはグループワーク後に成果を発表という形がここ数年変わっていないと金子さんに聞いたので、これまでほぼ顔を出すことのなかったサークルの飲み会、ゼミのメンバーでの飲み会に積極的に参加するようにした。


･･･ほぼ樹に連れて行ってもらう形で。





初対面の面々と会話、さらにはそれなりに目に見える結果を出さなくてはならないとあれば、人見知りというのは完全に不利である。その過程と結果で内定が出るのであれば尚更だ。





少しでも、関わりがない人たちと話す機会を。


バイト代の消え方が尋常じゃない速さだったけれど、背に腹は変えられない。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す